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実は、ジニンさんが出てこないんですよ、このシリーズ。アロウズvs途美なのに。
刹那は朝から不機嫌だった。
不機嫌も不機嫌、恐らく不機嫌の中でも一番不機嫌なくらいの不機嫌だろう。いつもはそんな風に回りくどく考えることもないのに、今は、本心からそう思う。それほどまでに、それほど言葉を尽くしても、不機嫌さは一つも消えなかった。
それの原因は目に見えて分かっていて、実際に自分の……いや、自分たちの目の前の、体育館のステージの上の椅子に座って列となり並んでいるのだが、ともかく。
気に入らないのは、その態度。
今日来たばかりだというのに、まるで我が物顔。
腹が立つ。本当に。
そして、あぁいう連中は揃いも揃って教育委員とやらから送り込まれてきた『テコ入れ要員』なのだという。この学園の問題については自分としても自覚的ではあるから、その点についてはそれ程文句を言う気はない。が。
ならばせめて、もっと立ち回りの上手い連中を連れてきて欲しい物だった。
頭が良いだけの連中では、役不足だ。
これではまた、前回のように追い出されて追い返されて、命からがら逃げ出すくらいしか出来まいに、全く。
身の程知らず。
その身の程の知らない彼らの馬鹿さ加減は、ステージの上に学園所有者ではなく学園理事長がいることからも伺えた。隔離でもしているのだろう。諸悪の権化は彼女であると決めつけ、実際そうだろうが、しかし。
事態がここまで進んで尚、そう言っていられる脳天気さが素晴らしい。
「…刹那、ちょっと苛ついてる?」
「…あぁ」
「ちょっとじゃないって言ってるね」
「いや…リボンズ君、どうしてそんな断言できるの…?」
「見れば分かるじゃないか」
「分からないよ…」
ため息を吐く沙慈から視線を外し、刹那は改めて壇上の厄災その物を見た。
ホーマー・カタギリ。理科教師で、どうやら彼らのリーダーらしい。カタギリ、というし担当教科もあり、恐らく親戚だろうと推測は出来た。ちらりとカタギリに視線をやると、何とも苦そうな顔をしていたから関係はあるのだと推測される。
それから、アーサー・グッドマン。こちらは英語教師。見た瞬間から絶対に馬が合わないと推測された相手だ。自分としては結構珍しいことに。
リー・ジェジャン。社会科教師。まだまぁ、まともに見えなくはない、が。
それからアーバー・リント………数学教師。間違いなくアウトだった。グッドマンと同じくらいに確実に。そもそもこの学園に存在を許されるような性格では無さそうに見える。
そんな感じの、メンバーで。
正直…とっとと出て行って欲しいのであるが。
恐らくは、五日間くらいは最低でも保ってしまうのだろう。とてつもなく苛立たしいことに、なのだが。
などと思う自分が、考えることと言ったらせいぜい一つ程度。
どうやって彼らを追い出そうか。
「ふふ、刹那、僕も協力させてもらうよ、それには」
隣から楽しげな笑い声が聞こえてきた。誰がそれを言っているのかは先ほどの会話を見れば容易なことであるし、彼に協力を要請するのは最後の最後の手段として。彼だって手を下そうとしたらきっと加減を間違える。
流石に二回目、死者だって出るかも知れない。
もちろん…冗談ではない。生憎と、そんな冗談は得意ではないのだ。
もう片側の隣の沙慈が酷く不安げな表情をしていて、それには少しばかりの申し訳なさを覚える。彼とて前回の悲劇を忘れてはいないのだろう。
それで良い。そして、彼は静かに静観だけでもしていてくれたらいいのだ。
とりあえず、首だけは突っ込まないようにと言ってやりたい。
彼は、普通なのだから。
だから。
「…好きにしろ。ただし、俺に協力は要らない」
「今のところだろう?良いよ、それなら僕は僕で勝手に動かさせてもらうね。あの大人たち…ちょっと目障りだし。ヴェーダを拘束するなんて有り得ないね、まず」
「あぁ、そういえばお前は」
「そうそう。僕はヴェーダのことが大好きだからね」
にこりと形容されそうなほど穏やかに微笑んで、リボンズは言った。
多分、割と本心だろう。彼の本心は余りよく分からないし、分かる気もないから曖昧な言葉にしかならない、けれども。
「一緒に精々頑張ろうか?」
「一緒じゃない」
「そうだったね。じゃあ、バラバラにお互い頑張ろう」
「…そうだな」
その言葉になら肯定を返しても良い。
思って、刹那は頷いた。
前回に何があったのかは、あえてハッキリとは記さない方向。
不機嫌も不機嫌、恐らく不機嫌の中でも一番不機嫌なくらいの不機嫌だろう。いつもはそんな風に回りくどく考えることもないのに、今は、本心からそう思う。それほどまでに、それほど言葉を尽くしても、不機嫌さは一つも消えなかった。
それの原因は目に見えて分かっていて、実際に自分の……いや、自分たちの目の前の、体育館のステージの上の椅子に座って列となり並んでいるのだが、ともかく。
気に入らないのは、その態度。
今日来たばかりだというのに、まるで我が物顔。
腹が立つ。本当に。
そして、あぁいう連中は揃いも揃って教育委員とやらから送り込まれてきた『テコ入れ要員』なのだという。この学園の問題については自分としても自覚的ではあるから、その点についてはそれ程文句を言う気はない。が。
ならばせめて、もっと立ち回りの上手い連中を連れてきて欲しい物だった。
頭が良いだけの連中では、役不足だ。
これではまた、前回のように追い出されて追い返されて、命からがら逃げ出すくらいしか出来まいに、全く。
身の程知らず。
その身の程の知らない彼らの馬鹿さ加減は、ステージの上に学園所有者ではなく学園理事長がいることからも伺えた。隔離でもしているのだろう。諸悪の権化は彼女であると決めつけ、実際そうだろうが、しかし。
事態がここまで進んで尚、そう言っていられる脳天気さが素晴らしい。
「…刹那、ちょっと苛ついてる?」
「…あぁ」
「ちょっとじゃないって言ってるね」
「いや…リボンズ君、どうしてそんな断言できるの…?」
「見れば分かるじゃないか」
「分からないよ…」
ため息を吐く沙慈から視線を外し、刹那は改めて壇上の厄災その物を見た。
ホーマー・カタギリ。理科教師で、どうやら彼らのリーダーらしい。カタギリ、というし担当教科もあり、恐らく親戚だろうと推測は出来た。ちらりとカタギリに視線をやると、何とも苦そうな顔をしていたから関係はあるのだと推測される。
それから、アーサー・グッドマン。こちらは英語教師。見た瞬間から絶対に馬が合わないと推測された相手だ。自分としては結構珍しいことに。
リー・ジェジャン。社会科教師。まだまぁ、まともに見えなくはない、が。
それからアーバー・リント………数学教師。間違いなくアウトだった。グッドマンと同じくらいに確実に。そもそもこの学園に存在を許されるような性格では無さそうに見える。
そんな感じの、メンバーで。
正直…とっとと出て行って欲しいのであるが。
恐らくは、五日間くらいは最低でも保ってしまうのだろう。とてつもなく苛立たしいことに、なのだが。
などと思う自分が、考えることと言ったらせいぜい一つ程度。
どうやって彼らを追い出そうか。
「ふふ、刹那、僕も協力させてもらうよ、それには」
隣から楽しげな笑い声が聞こえてきた。誰がそれを言っているのかは先ほどの会話を見れば容易なことであるし、彼に協力を要請するのは最後の最後の手段として。彼だって手を下そうとしたらきっと加減を間違える。
流石に二回目、死者だって出るかも知れない。
もちろん…冗談ではない。生憎と、そんな冗談は得意ではないのだ。
もう片側の隣の沙慈が酷く不安げな表情をしていて、それには少しばかりの申し訳なさを覚える。彼とて前回の悲劇を忘れてはいないのだろう。
それで良い。そして、彼は静かに静観だけでもしていてくれたらいいのだ。
とりあえず、首だけは突っ込まないようにと言ってやりたい。
彼は、普通なのだから。
だから。
「…好きにしろ。ただし、俺に協力は要らない」
「今のところだろう?良いよ、それなら僕は僕で勝手に動かさせてもらうね。あの大人たち…ちょっと目障りだし。ヴェーダを拘束するなんて有り得ないね、まず」
「あぁ、そういえばお前は」
「そうそう。僕はヴェーダのことが大好きだからね」
にこりと形容されそうなほど穏やかに微笑んで、リボンズは言った。
多分、割と本心だろう。彼の本心は余りよく分からないし、分かる気もないから曖昧な言葉にしかならない、けれども。
「一緒に精々頑張ろうか?」
「一緒じゃない」
「そうだったね。じゃあ、バラバラにお互い頑張ろう」
「…そうだな」
その言葉になら肯定を返しても良い。
思って、刹那は頷いた。
前回に何があったのかは、あえてハッキリとは記さない方向。
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