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一方その頃、といいますか。
53:時計
ただ今の時刻は六時丁度。
そしてそんな時間帯にもかかわらず、起きないメンバーが数人、と。
「どうすんだよこの状況」
「拙者も分からないでござるよ…」
倒れてしまったストライクフリーダム、インフィニット、デュエルの三人を見下ろして、バスターとブリッツはどうしようかと言葉を交わしていた。ちなみにブルデュエルとヴェルデは寝ている状態である。
だから今、こうして二人。
じっくりと真剣に、この状況について話し合うことが出来るのであった。
寝かしている三人を見下ろし、バスターはため息付いた。
「一体いつになったら起きるのかねぇ」
彼らが目覚めなくなってから、大分時間が経った。だからいい加減に起きていなければならない時間だというのに、起きない。他の所も同じくちょっとした問題が起きているという話は校舎での集まりの時に聞いているのだが…そして原因が間違いようもなくギャンであることも分かっているのだが。
一番肝心なことが分かっていない。
どうやったら、現状打破が出来るかが。
困ったね、とため息を吐いていると、丁度誰かが帰ってきたような物音がした。振り向けば、そこには凛々しいと言うに相応しいような女性の姿。その直ぐ横には輝かんばかりの金髪とコンビニの袋を持った男。
「どうだ?起きる気配はあるか?」
「とりあえず人数分は買ってきたけどな」
ルージュとアカツキ、である。
二人の視線を受けて、バスターは首を振った。
「いんや全く。身動きもしないし」
「そうか……鼻にエビフライでも突っ込めば起きるか?」
「食べ物を粗末にしてはいけないでござるよ…」
「それもそうだな」
もっともだ、と言わんばかりにルージュは頷いた。
「では箸を突き刺すことにしよう」
「…あんま変わってないと思うのはオレだけ?」
「何を言うんだアカツキ。とてつもない変化だぞ?食べ物とその他、この間には大きな差という物が存在しているのだからな」
まぁ、静物と生物だったら差くらい有るだろう。
そもそも比べることが違うのだと思うのは自分だけではないだろう。アカツキが指摘したかったのは使用する物体よりも以前の、実行しようとしている行動についてだったのだろうから。気持ちは分かるが。
命拾いしたなと三人に一瞥をやって、バスターはアカツキが持っていた袋を彼の手から抜き取って中を見た。
「むすびばっか?」
「それくらいしかなかったんだよ」
「皆、考えることは同じと言うことだ」
「…あぁ、みんな同じ様に食べ物買いに来るんだ」
「セールの時のあの喧噪みたいな感じじでござるか?」
「そうそう。ブリッツは良く分かってんな」
「そんな…褒められるようなことではないでござるよ」
照れたように笑うブリッツに微笑ましさを感じつつ、とりあえずむすびの中からおかかを取り出して袋及び残りの中身をルージュに返す。
「どーも。んじゃオレはこれだけで」
「良いのか?まだいくらか取っても構わないのに」
「一個で平気平気。むしろ育ち盛りのチビ二人にあげちゃってくれる?」
「いや…彼らはしばらく起きないだろう?置いていても意味はないだろう」
「んじゃ起こしちゃう?」
「止めてやれ…」
軽く笑って言うと、ため息を吐かれた。冗談なのに。
まぁ相手も冗談と分かってそのリアクションをしているようなので、さほど問題という物はないのだけれども。
「それならオレが食べるけど良いか?」
「構わんが…ほどほどにな。ブリッツはどうする?」
「拙者も一つで大丈夫でござる」
「って事は何だ?買い過ぎってことか?」
「かもしれないな…人数が減ると程度が分かりにくい」
そう言うルージュは、やはり今すぐにでも起きればいいと思っているようだった。
早く起きてくれないと、きっと諸々のことが困るんでしょう。諸々が何かは分かりませんが、困ることは少なくともひとつ二つはあるはず。