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大御所は大御所である時点で苦労性ですよねっていう話。
54:釘
「始めに言っておきますが」
と、ガンダムは、食堂に集まったメンバーを見て、口を開いた。
「これから行くのは遠足とかじゃないんでそこを忘れないように……って言ってる傍からそこ!何でお菓子とか持ってるんだよ!」
「え?だってオレ戦う気有りませんから」
「無くてもGP-01は参加して!お前の特殊能力分かってる?」
言わずもがな、『一撃必殺』である。
必ずおでこに的中。ただし加減をすることも可能。
昨日、全員分のそういうのを調べておいたから間違いないだろう。
そして……こんな、是非とも戦わせてくださいと言わんばかりの特殊能力を持っている彼を、まさかガンダムが戦闘メンバーから外すワケがないのだ。たとえ途中で味方同士戦うことになろうと、参加するメンバーは多い方が良い。その方が優勝する確率も跳ね上がるという物だろうし。
だから、ゴッドとマスターだけで良いんじゃないかという言葉は却下した。この二人もこの二人で、場合によっては色々と危ない。
…考えてみると、問題だらけな気がする。
幸いなのか不幸なのか、たんくは不参加だ。だから有る程度は平和にいけると思うのだけれど、実際はどうなるかは不明である。
「ガンダム…ボクも出るのか?」
「あぁ、うん出てもらうけど…どうかした?」
「……眠り足りないんだが」
「プラスー、後ろから軽く殴ってくれるこの人」
「や、オレも命は惜しいんで遠慮さしてもらいます」
「じゃあマークⅡ」
「プラスと同じく…っていうかガンダムさん、コイツはむしろ出さない方が良いんじゃないっすかね?」
「…あぁ、そうかも」
彼だったら、魔法使いのくせに魔法を使わず、杖で相手を突き刺すくらいやりかねない。そういえばだいぶ昔、ジ・Oと砂浜で何か妙な対決をしていたときも、途中で忍耐が続かなくなって突き刺していた気がするし。
などと思い、そういえば今と昔ではゼータの性格も全く違うなと関係ないことまで思い出して、とりあえずマークⅡの意見を採用することにする。
しかし…これは。
「となると…参加しない方がいい人を選んで除外していった方が良いのかな」
「私は出ないぞ。倒された魔王がどうして地方の闘技大会に出る事になるんだ」
「私もだわ。一応宝玉という設定であるようだし、出ては不自然だと思うの」
「ララァさんの意見なら一発で通しますって」
というわけでララァが参加しないことは確定。
うんうんと頷いていると、ポンと肩に手を置かれた。
振り向けば、いたのは魔王っぽいシャア。
「私の意見はどうした?」
「え?オレがどうしてお前の意見なんて聞かないといけないんだよ」
「…お前、死にたいのか?」
「…何言ってるんだよ、魔王の方こそ勇者に倒されるのがセオリーだろ?」
「良い度胸だな、貴様」
「それはこっちのセリフだよ、魔王様?」
どんどんと険悪なムードになるのを感じつつ、しかしだからといって何の手だても打つ気もなく。ムードがさらに急降下しそうになった、その時。
言い合いを止めたのは他でもなく、アレックスだった。
彼女はとても慌てた様子で自分たちの間に入って言ったのである。
「お兄さんたち落ち着いてください!こんな所で無駄なことに無駄に体力削っちゃダメですよ!」
「…アレックス」
思わず痛んだ胸を抑えつつ、ガンダムは妹を見た。
「アレックスってさ…無自覚だから怖いよね…」
「え?何がですか?…てお兄さん!?何だかダメージいってます!?」
「うん、ぐさって来たよ…心が痛い感じだなぁ…」
無駄なことに無駄な体力と言われたのが何だか痛い。
何というか、自分たちは大まじめなのにそうやって言われて止められるのが何気に辛かった。しかも止めてくるのは自分の妹なのであるから、威力は倍増どころではない。
見ればシャアも同じような様子で、がくりと膝をついていた。
「もしかして…アレックスだけ出してても勝てるんじゃないかな…大会」
「へ?」
「いや…こっちの話」
アレックスが最強に近いキャラである事は周知、かと。
…しかもそれが天然っていう。