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この二人はあまり書いてないから…別人だったりするかもしれません。
ごめんなさい。
008:曖昧模糊
策を練り終えた半兵衛は、筆を机の上に置いた。
これで後日の戦の準備は万端。実行すれば、確実に相手の軍を落とすことが可能。
…である、ハズ、だ。
いつもなら断定できるところ、今回はどうしてもそれが出来ず、半兵衛は妙な胸騒ぎを覚えていた。このままで良いのか、と。
このままやって、支障はないのか。
このままやって、死傷はないのか。
このままやって、嗤笑はないのか。
無いはず、だった。支障など起こらないはずだし、死傷も今後に不利になるほどではないハズだし、嗤笑など相手が負けるのだから向けられるわけもない。万事に人事を尽くしているのだから。
だというのに、この不安は一体何だ。
「一筋縄ではいかないことくらい…分かっているけれど…分かっているのに」
「分かっているのに何だ、半兵衛?」
「…!」
その声に思わず勢いよく振り返れば、いたのはここにいるはずがない親友の姿だった。
「秀吉…!君は明日に備えても寝ておいてくれと……!」
「友を一人働かせ、自分はのうのうと寝るような事は出来なかったのでな。…して、一体何をそこまで不安がっている?」
「…策が、完璧なはずなのにどこかに穴があるような気がしてならない」
本来、策を作り上げた策士がこのようなことを言ってはならないだろう。だが、相手が秀吉であるという事実が半兵衛の口を軽くしていた。彼なら分かって、全てをちゃんと訊いてくれるだろうという気持ちがあったから。
そして、彼はその気持ちに応じた。
「半兵衛、お前の策は完璧だ」
「…うん、そうだね。すまない…秀吉」
答え、息を吸い、吐く。
大丈夫だ。大丈夫。彼がこう言うのだからきっと。
きっと倒せる。
たとえ次の相手が…
次の相手が誰なのかは、ご想像にお任せします。