式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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ようやく一段落。
夜。
政宗は元親を連れ、元就と一緒に家に帰っていた。
そこで試してみたのだが、どうやら元親は『問題なし』らしい。普通に自分の住まっている離れの障子を開けてくれた。いっそ清々しいほどに。それからこちらを振り返って「これが一体何なんだ?」と問いかけてくれたので、思い切りその背を蹴りつけてやった。
ざまあみろと言ってやりたい。
元親が簡単にできるといっても、悪いが今の自分には全く出来ないのである。
それをこんな風に簡単にやられて、挙げ句に『だから何』と言わんばかりの表情をされたら…とりあえず蹴りたくなるのは仕方ないだろう。
ていうか力が削げてるのは分かってるだろうが。
その上、ここが封印の場所だと言うことくらい分かっているだろうが。
……そう考えると、蹴るくらいでは足りなかった気がする。
しかし、まぁ。
「…仕方ねぇんだよな」
離ればなれになって何千年。
こちらの実状を理解しておけと、言うのは難しいだろう。
「おい、元親。お前何か食いたいものあるか?」
「別に何でも…てかどうして蹴られてんだ、俺は」
「それこそ別にどうでも良いだろ」
じゃあ適当に作るかと残っている材料を確認している間に、後ろでがたごとしている音が聞こえたが…気にするまでもないだろう。今の自分の住居が気になる、というのは分かる。ここでずっと過ごしてきたのだと言うことくらい分かっているだろうから、気にくらいはするのだろう。
有難いことだ。
何千年経っても変わらないその友情に。
今回くらいは感謝しても良い。
そんな気持ちがあったからか、作った料理はいつもの五割り増しで豪華だった。
それを見て、元親は何とも言えない表情を浮かべた。
「お前…本当に料理上手いよな」
「当然だろ。ずっと練習してたんだぜ、暇なとき」
「だろうな…」
「ま、それが出来るようになったのも最近だけどな」
「…?どーいうことだよ」
「厨房、入れたのは元就だからな。だから練習できてたのはせいぜい二、三年くらいか?その点だけでも俺は元就に感謝してるぜ?」
材料がなければ何を出来るわけでもないのだが、こういうのはあってくれるだけで結構嬉しい。贈り物となったら尚更だ。
黙り込んだ元親に、政宗はゆっくり語るように言う。
「俺は、ここに封じられてる。あの障子も俺は自分では開けられねぇ。けれど外に出れるのは元就がいるからだ。アイツが俺を外に出してくれるってわけだが…アイツ以外だと、多分俺は外にでれねぇ。封印やった奴の子孫だからこそ出来る芸当なんだよ、あれは」
実際、封印というのは外に出させないという物。
なのに今、制限付きとはいえ政宗が外に出れるという事実は、実はとても貴重で、有難い物であったのだ。言葉、そのままの意味で。
ここまで言っても何も言わない鬼に、さらに続けて。
こちらは、世間話というか、あの街について、だが。
「なぁ、あの街の名前、知ってるか?」
「知るかよ。最近来たばっかだぜ?」
「来たばっかだろうと訪れてる時点で知ってる物だと思うけどな…あの街、界風って言うんだぜ。風の世界…風が巡る地、って意味らしい。人がたくさん集まって去る姿が風のようだからそう呼ばれてるんじゃないか、と慶次が言ってた。実際そうだけどな」
「風が巡る、、ねぇ…」
「けどな、もう一つあるんだよ」
それは恐らく、もう自分くらいしか知らない事。
何千年も前に、静かに消えていった由来と、その名前。
「昔、界風は怪封…『怪を封じる』って名前だったんだぜ?由来はそのまま。そしてその怪、ってのが何かは明白だろ?」
「竜、ってわけか。笑えねぇ話だな、そりゃ」
「忘れ去られた由来だけどな。それでも、これが根底にあることは間違いようが、無い。つまり…この街は俺が封じられてこそ、とも言える」
「てことは、お前の封印が解ければ街は終わり、ってか?」
「さてな?今なら耐えきれるかもしれないぜ?」
昔…街が出来た頃は、それはもう脆そうだったが、今なら大丈夫かも知れない。そう思える程度に、あの街は繁栄している。
喜ばしいことだ。あの街の人間は、妖は、結構気持ちの良いヤツらだ。
などと思っている間に、何かを考えついたらしい。元親が口を開いた。
「政宗、俺、しばらくあの街に住み着くわ」
「は?そりゃまた珍しい。人里に住むなんざ…俺に付き合わなくても良いんだぜ?」
「付き合うも付きあわないも俺の勝手だろ?たまに遊びに来てやるから安心しろや」
「馬鹿か。別にそんなの期待してねぇ」
こうして街に鬼が住み着くことになりました。
蛇のことは…また後日。
政宗は元親を連れ、元就と一緒に家に帰っていた。
そこで試してみたのだが、どうやら元親は『問題なし』らしい。普通に自分の住まっている離れの障子を開けてくれた。いっそ清々しいほどに。それからこちらを振り返って「これが一体何なんだ?」と問いかけてくれたので、思い切りその背を蹴りつけてやった。
ざまあみろと言ってやりたい。
元親が簡単にできるといっても、悪いが今の自分には全く出来ないのである。
それをこんな風に簡単にやられて、挙げ句に『だから何』と言わんばかりの表情をされたら…とりあえず蹴りたくなるのは仕方ないだろう。
ていうか力が削げてるのは分かってるだろうが。
その上、ここが封印の場所だと言うことくらい分かっているだろうが。
……そう考えると、蹴るくらいでは足りなかった気がする。
しかし、まぁ。
「…仕方ねぇんだよな」
離ればなれになって何千年。
こちらの実状を理解しておけと、言うのは難しいだろう。
「おい、元親。お前何か食いたいものあるか?」
「別に何でも…てかどうして蹴られてんだ、俺は」
「それこそ別にどうでも良いだろ」
じゃあ適当に作るかと残っている材料を確認している間に、後ろでがたごとしている音が聞こえたが…気にするまでもないだろう。今の自分の住居が気になる、というのは分かる。ここでずっと過ごしてきたのだと言うことくらい分かっているだろうから、気にくらいはするのだろう。
有難いことだ。
何千年経っても変わらないその友情に。
今回くらいは感謝しても良い。
そんな気持ちがあったからか、作った料理はいつもの五割り増しで豪華だった。
それを見て、元親は何とも言えない表情を浮かべた。
「お前…本当に料理上手いよな」
「当然だろ。ずっと練習してたんだぜ、暇なとき」
「だろうな…」
「ま、それが出来るようになったのも最近だけどな」
「…?どーいうことだよ」
「厨房、入れたのは元就だからな。だから練習できてたのはせいぜい二、三年くらいか?その点だけでも俺は元就に感謝してるぜ?」
材料がなければ何を出来るわけでもないのだが、こういうのはあってくれるだけで結構嬉しい。贈り物となったら尚更だ。
黙り込んだ元親に、政宗はゆっくり語るように言う。
「俺は、ここに封じられてる。あの障子も俺は自分では開けられねぇ。けれど外に出れるのは元就がいるからだ。アイツが俺を外に出してくれるってわけだが…アイツ以外だと、多分俺は外にでれねぇ。封印やった奴の子孫だからこそ出来る芸当なんだよ、あれは」
実際、封印というのは外に出させないという物。
なのに今、制限付きとはいえ政宗が外に出れるという事実は、実はとても貴重で、有難い物であったのだ。言葉、そのままの意味で。
ここまで言っても何も言わない鬼に、さらに続けて。
こちらは、世間話というか、あの街について、だが。
「なぁ、あの街の名前、知ってるか?」
「知るかよ。最近来たばっかだぜ?」
「来たばっかだろうと訪れてる時点で知ってる物だと思うけどな…あの街、界風って言うんだぜ。風の世界…風が巡る地、って意味らしい。人がたくさん集まって去る姿が風のようだからそう呼ばれてるんじゃないか、と慶次が言ってた。実際そうだけどな」
「風が巡る、、ねぇ…」
「けどな、もう一つあるんだよ」
それは恐らく、もう自分くらいしか知らない事。
何千年も前に、静かに消えていった由来と、その名前。
「昔、界風は怪封…『怪を封じる』って名前だったんだぜ?由来はそのまま。そしてその怪、ってのが何かは明白だろ?」
「竜、ってわけか。笑えねぇ話だな、そりゃ」
「忘れ去られた由来だけどな。それでも、これが根底にあることは間違いようが、無い。つまり…この街は俺が封じられてこそ、とも言える」
「てことは、お前の封印が解ければ街は終わり、ってか?」
「さてな?今なら耐えきれるかもしれないぜ?」
昔…街が出来た頃は、それはもう脆そうだったが、今なら大丈夫かも知れない。そう思える程度に、あの街は繁栄している。
喜ばしいことだ。あの街の人間は、妖は、結構気持ちの良いヤツらだ。
などと思っている間に、何かを考えついたらしい。元親が口を開いた。
「政宗、俺、しばらくあの街に住み着くわ」
「は?そりゃまた珍しい。人里に住むなんざ…俺に付き合わなくても良いんだぜ?」
「付き合うも付きあわないも俺の勝手だろ?たまに遊びに来てやるから安心しろや」
「馬鹿か。別にそんなの期待してねぇ」
こうして街に鬼が住み着くことになりました。
蛇のことは…また後日。
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