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この人が出せたのはとても行幸でした。
079:つぶやき
その声を耳にしたのは、本当に偶然だった。
ベルフェゴールはナイフの手入れを終え、雲雀と別れた後にフラフラと本部の中を歩いていたのである。特に当てもなく、目的もなくフラフラと。
そうして、その声を聞いた。
「全く…アイツらはどうしてこうも…」
その声は、酷く疲れたような感じで、言葉の後にはもれなくため息が着いてきている。よっぽど苦労しているのだろうが、それはベルフェゴールにはこれっぽっちも関係ない。自分が苦労さえしなければ良いという思考回路を持つ王子は、その苦労人が一体誰なのかを突き止めるべく、ふらりと声のする方によっていった。もちろん気配は消し、足音も立てない状態で。
結果。
相手を見つけたのは応接間。
相手というのはランチアだった。
珍し。と自分とて本部にはあまり来ないことを棚に上げて王子はドアの間からコッソリと中をのぞき見た。のぞき見るというのは王子としてはいささか堂々としていないような気もしたけれど、こういうのは影からコッソリ観察するのが楽しいから問題はない。
「何よりも骸だな……いくらクロームがいるからといって…」
あぁ、そういえば前回の任務で骸は敵ファミリーを殲滅してしまったのだったか。とても黒い笑顔で帰ってきたらしい彼は、どうせ敵に頭の形のことでも揶揄されたのだろうとボンゴレ内ではもっぱらの噂だ。
嫌ならあの髪型、いい加減に止めればいいのに。
本気で思うがそこは彼のよく分からない『美意識』故の物なのだろうから、自分には何も言えない。言わない代わりにそのうち実力行使が入るかも知れないけれど、その時はその時で、つまり相手が悪いのだから問題はない。
クロームが、というのは、クロームがいてこちらに出てきやすいことを指しているのだろう。もし彼女がいなかったらもっと楽だったに違いないし。
どこの集団にも苦労人というのはいるのだと某鮫のことを思いながら納得し、ベルフェゴールはドアから離れた。
黒曜の保護者って言ったらやっぱりランチアさんなのだろうか。