Another Story （W） 第三十二話：死神とゼロの対決

復活して初めてのAN更新です。

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　こんな所で再会するとは。

　運命の皮肉というのは多分こういう物なのだろうなと思いながら、デスサイズはウイングゼロの機体に乗るデュオを眺めていた。

「…お前、大変なんだな」

「まぁ……ようやく自由に出入りが出来るようになったが、今度は地上と宇宙を行ったり来たりだからな。その言葉には頷いておく」

　そう、隣にいる相手…ウイングは、言う。

　本当に驚いた。彼に乗っているのが彼本来のパイロットではなかったことが二番に、一番はこうして相対してしまっていることだ。

　先ほど少し聞いたが、今のウイングの本体の…ウイングゼロというのは、何でも実に妙で厄介なシステムを持っているらしいのだ。果たしてデュオがそれをどうにか出来るのかと言われると、少し危ういのではないかと自分は見ている。何でもウイングのパイロット……ヒイロ・ユイとて使いこなすことは無理だったらしいから。

　彼と劣っているとは言えないけれど何というか。

　その上、サンドロックのパイロットの、カトルも無理だったと言うし。

　つまりは誰も使い切れていないのに彼が出来るという、そんな楽観視は出来なかったというだけなのであった。

「ていうか地上と宇宙を行ったり来たりって」

「地上にウイング、宇宙にウイングゼロ、となっている」

「マジですか？…にしても自分で自分の名前を言うの、恥ずかしくない？」

「…仕方ないだろう。そのほかに表現のしかたを知らない」

「ま、それはそうだろうけど」

　本体を指すなら機体名を言わなければならないのは実際、本当。特に今のウイングの場合は。でないと分からなくなるのは目に見えて明らかだ。

　そもそも、今の彼の状況は今までにないほどに珍しい。一つの心で二つの体を動かしているような物で、結構無茶だろう。いくら体力とかいうものがすり減らなかったとして、精神力が削れるのは違いない。

　大変だというのは間違いないのだ。

「ところでさ、ウイング」

「何だ」

「ちょっと頼み」

「聞くだけ聞いてやる」

「ちゃんと聞いてくれっての。…じゃなくて、お手柔らかにって事をお願いしたいわけで」

「それは……」

　と、ウイングは、どこか真剣な様子で問いを発した。

「これから今すぐのことか？それとも、その後起こるであろうことか？」

「…出来れば両方？」

「……善処はしよう」

「ありがと」

　微笑むと、ふいと視線を逸らされた。

　これは照れてるなと苦笑しつつ、瞳を閉じてこれからを思う。

　様子からして、まずデュオはウイングゼロに乗る。その時に、そのシステムの『危険性』に彼が気付かないわけがないのだ。まぁ、となれば後はどうなるかといえば簡単なこと。自分が出て、あのＯＺの誰かが乗るウイングと戦うことになる。

　正直気は進まない。折角再会できた仲間と戦い合うなんて、誰だってきっと嫌だろう。少なくとも自分は嫌だ。それも、とてつもなく、嫌なのだ。

　多分、それはウイングだって一緒だと思う。

　だって、自分たちは互いが互いに切り捨てることが出来ない仲間なのだ。

「なー、ウイング」

「今度は何だ？」

「これが終わったら、少しくらい余裕とか出来るかな」

「無理だな。俺はしばらく行ったり来たりが終わらないし、お前だって暇とは言えない」

「じゃあ、暇っていつ来るだろ」

「全てが終わったらじゃないのか」

「なら、全て、って何？」

　何をどこまで終わらせたら終わりになるのだろう。いつになったら自分たちの存在に終止符が打たれるのだろう。そもそも、全てが終わっても自分たちは消えることが出来ないのではないだろうか。この永遠に残るであろう『心』がではなく、『体』の方が。

　恐らく、全てが終わったときに自分たちがいては、ダメなのだ。

　それが今、何だかとてもよく分かった。ゼロシステムという機能は、世界が平和になった後は絶対に必要のない物。そしてそれを乗せているウイングだって、不必要となるのだろう。ならば彼の仲間である自分だって。

　だから、きっと。

「…お前は難しいことを考えるな。まだ完全に立ち直ってない上に不完全復活だろうが」

「む、何か痛いトコ突いてくるんだな、お前も」

「突かないと勝てないだろう」

「まぁそれはそうだけど」

　勝ち負けじゃないんじゃないのかと、少し笑った。

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こんなに色んな人に乗りまわされている機体って、ゼロ以外にもいるんですかね…？