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このお題の題名…読めないんですけど…。
015:拈華微笑
「…良い天気だな、外」
「だからといって外に出てはなりませぬぞ、政宗様。まだ政務が残っておいででしょう」
「Oh……分かってるぜ、小十郎」
「嘘ですな。私が目を離せば直ぐにでも逃げ出すおつもりでしょう」
「……Why do you understand?」
永遠の謎だ、と政宗はため息を吐いた。
全く、どうしてこうも心を読まれるような心地を受けなければならないのだろう。流石は竜の右目と褒めるべき箇所かも知れないが、こうも読まれ続けていては自由行動もままならない。どうにか策を練る必要がありそうだった。もっとも、それが実を結ぶかどうかは定かではないのだけれど。
そんなことを思っている間に、小十郎がふっと空を見た。
「それにしても…政宗様ではありませぬが、良い天気ですな」
「行きたいなら野菜畑に行ってこいよ。気になるんだろ」
「いいえ。小十郎は貴方様を監視しておくという務めがございますので」
「…そうかい」
野菜畑を餌に、小十郎を引きはがす作戦は失敗したようだ。
小さく、ち、と舌打ちをすると、どこか楽しげに小十郎は笑う。
「ですから政宗様、そのような策は無駄でございます」
「だから…何で分かるんだよ、俺の考えてる事。竜の右目だからってのはナシでな」
「簡単なことです。政宗様が相手だから、ただそれだけです」
「……それだけ?」
「はい。そうですが…何か不都合でも?」
「いや、ねぇけど」
何というか、それは。
そう思って政宗は筆を持っていない手で顔面を覆った。
「俺は一生…小十郎を出し抜けねぇってことかよ…」
それは、いつか小十郎を出し抜いて少しばかり見返してやろうと思っている自分からすると、とても痛い事実だった。
それでも出し抜こうと頑張るんでしょう。
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