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拍手再録です。
02:何処まで行けば(00:マイスターズ+α)
「ゴールのない競争じゃない、それ」
どこか呆れたように同じ顔をした相手は言った。
「それ、楽しいの?」
「楽しい…などというものではないだろう」
紅茶を飲みながらティエリアは答えた。
それからカップを置き、ふとテーブルの中央にあった皿に視線をやると、そこには初めから何もなかったかのように空の空間が出来上がっていた。思わず眉を寄せる。食べたかったわけではない。ただ……二人で食べ切ったにしてもペースが速すぎないか。
ちゃんと味わって食べているのだろうなと、もう一人の同席者に視線を向けると、直ぐさま顔をふいと逸らされてしまった。
その際に揺れた、その癖のある黒毛を引っ張りたい欲求に晒されたがどうにか堪え、改めて突然の来訪者へと意識を向ける。
「で、君は何のためにここに来たんだ」
「んー?だってほら、僕たち同タイプだし」
「それは理由じゃない」
「つれないなー。ただ顔見に来たって言うのはダメなの?」
「断固拒否する」
きっぱりと言ってやると、リジェネはふて腐れたような顔を一瞬作り上げ、直ぐに、まぁ良いかと言わんばかりの表情を浮かべた。
それから菓子の追加を頼もうかなどと言い出す彼に、感じるのは脱力。
「リジェネ・レジェッタ、本当にどうしてここに来たんだ…と、ティエリアが訊きたがっているが」
「あぁ、それそういう態度なんだ。通訳ありがとう、刹那」
「それで…本当に、では、先ほどの話題は何だったんだ」
「ん、あれ?」
喋る気力も失った自分の言葉を刹那を通して伝えられたリジェネは、大したことはないよと手を軽く振った。
「単なる興味。君たちはいつまで戦い続けるのかなと思ったから」
それで答えがアレじゃあ、ね。
リジェネは笑う。
「戦いが終わるまでなんて、まるで戦争と平和と追いかけっこをしてるみたいだよ」
(2010/04/18)
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