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拍手再録です。
05:立ち止まったら最後(Re:ヴァリアー)
命がけの『追いかけっこ』というのは仕事柄、何回か経験したことはある。
だいたいそう言うときは、直ぐに反撃に打って出て鬼役を全員切り捨てて終わりなの、だけれど。終わりに出来るのだけれど。
それは任務中など様々に適応できるルールではあるのだが、生憎と、今現在の状況を打破するための効力など持っているわけがなかった。まず前提として自分が相手より強いことが求められるし、その次に自分が相手を傷つけても良いと判断出来なければならない。
が、そんな事柄がこの相手に当てはまるわけもなかったので。
「…つーかお前は何やったんだぁ!」
「えー?その辺にあった書類ナイフで刺しただけ」
「それを『だけ』で表現できるベルはある意味凄いね…」
スクアーロ含め三人はひたすらに、かの帝王から逃げていた。
ザンザスが銃を取り出してこなかった事は、救いだろうが解決の糸口にはならない。銃がなければ捕まえて殴れば良いだけの事なのだから。
それにしても釈然としない。そんなとんでもないことをしてくれたベルフェゴールならともかく、その場に偶然居合わせてしまった自分とマーモンまで、どうして追いかけられなければならないのだろう。
きっと居合わせたからなのだろうと、横暴な上司にため息を吐いている間に、ふいに後ろから大きな爆音。
走りながら背後を確認すれば、つい先ほど蹴った床に穴。
それと、巻き上がった煙の向こうにザンザスの姿。
何が起こったのかと把握したスクアーロの背に、冷たい汗が流れ落ちる。
「ついに憤怒の炎使いやがった…」
「スクアーロが逃げるせいだろ!?良いからお前人柱になって来いよ!」
「あ゛ぁ!?なんならテメェだろうが、元凶!」
「良いんだよ俺は王子なんだから!」
「二人とも!叫んでる暇があったら走りなよ!捕まったら本当に死ぬよ!?」
そんな封に叫びあっている間に後ろから二回目の爆音が聞こえてきて、三人は一斉に口をつぐんで走る方に集中した。
捕まってなる物かと、同じ思いを抱きながら。
(2010/04/18)
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