式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ほのぼのっていいですよね。
088:なけなしの想い
ばったりと。
街の中で出くわしたのは本当に偶然だった。
ありがたいかありがたくないかと言えば、これは間違いなくありがたくない方の偶然だろうと、獄寺は相手を見ながら思う。
「ったく…どうして休みの日にまでテメェの顔見ねぇとなんねぇんだか」
「はひっ…それはハルのセリフです!ハルはツナさんに会いたくて外に出たんです!」
「なっ…テメェごときが十代目に会おうなんて百億年早ぇんだよ!」
「そう言う獄寺さんはどうなんです!」
「俺は十代目の右腕だから良いんだよ!」
「ワケが分かりません!ならばハルは未来のツナさんのお嫁さんなんですから、右腕さんより間違いなく会う権利はあるはずです!」
「誰がそんなの決めた!」
叫ぶと、ハルはどこか照れた様子を見せた。
「それは…もちろんツナさんとハルの約束なのです…」
「はっ。そんなん十代目が許可なさるはずねぇだろ」
鼻で笑い、肩をすくめてやる。
そうするとムッとした表情で睨まれたが、そんな物怖くも何ともない。所詮は少しばかり『こちら』に足を踏み入れかけているだけの一般人だ。力を持っているわけでも何でもないのだから。
しかし…、性根が悪いわけではないし、相手としては良いのかも知れない。ほんの……ほんの、ほんの、ごく僅かにだがそのくらいは、認めてやるべきだろうか。
そんな事を思ったからか、何となく獄寺はいつもとは違う言葉を吐いていた。
「ま、十代目は寛大なお方だからな、努力すれば認めてくださるかもしれねぇな」
「……獄寺さん、変な物食べました?」
「…るせ」
すると思い切り不振な顔をされたので、直ぐに視線を逸らす。
……そんなに妙だったのだろうか。微妙に気になるのだが。
ともかく、慣れないことはするべきではないと言うこと、なのだろう。
この二人も割といいコンビだと思うんですが。
PR
この記事にコメントする