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「普通の話」の裏話です。臨也と新羅の取引風景。
「で、これ、本当に効き目あるの?」
「疑うなら受け取らなければいいじゃないか」
昼休みの、人通りの少ない階段で。
約束の薬を受け取っているくせにそう言う臨也に、新羅は両手をずいと差し出した。
「でも、とりあえず僕はちゃんと約束を守って薬を渡したよ。だから君も約束を守って、僕にセルティの写真を渡すべきだと思うんだ」
「……まぁ、そういう約束だったしね」
呆れ顔ながら素直に差し出された写真に、ぱぁぁっと笑みを浮かべる。
「ありがとう臨也君!君はやっぱり私の親友だね!」
「君を付けるのは止めてくれないかな……鳥肌が立つ」
「他意は無いよ?」
「分かってるけど、それでもね…じゃあ、新羅は俺……じゃなくて、そうだな、シズちゃんに穏やかな笑顔で『ごきげんよう』なんて言われて平気でいられる?」
真面目な表情で訴える様に話す臨也。
その言葉のままを想像したら頬が引きつった。
「……成程、君の言いたい事は分かったよ」
「分かってくれて幸いだね。…ま、とりあえず今日にでも使ってみる事にするよ……シズちゃんを普通の人間にする薬とやらは」
「一応お願いしておくけれど、それを使って静雄を殺したりはしないでね。流石に寝覚めが悪いから」
「了解。適当に楽しく遊ばせてもらうよ。じゃあね」
上々の機嫌で去っていく臨也の背を見送る事数秒。
新羅は、大切な事を思い出した。
あの薬はすぐさま効果が発揮される物では無くて、ジワジワと効果を発揮していくタイプであると言う事を……言い忘れていた事を。
けれどもそれを伝えるには遅すぎて、既に取引相手の姿は無い。
追いかければ捕まえる事が出来るだろうが……
「ま、別にいっか。ナイフに塗って切りつけろって、使い方は教えてるし」
静雄には普通の薬でもなかなか効かない事は、臨也だって知っている。それを踏まえてきっと、その辺りは彼だって考えているだろう。
楽観的にそう考えて、新羅は新羅で教室に帰る事にした。
笑顔でごきげんよう……気になるようなならないような。
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