式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
二回目のお昼の時間です。それにしても臨也と罪歌は仲が悪い。
仕事にひと段落ついて、また夜に、とトムと一旦別れて。
静雄たち三名は、昨日と同じ某有名ファーストフード店にて昼食を取っていた。
今回は臨也の奢りでは無い。各々が自分できちんと代金を支払う形にした。もっとも、金を持っていなかった罪歌の分は臨也に押し付けたが。無駄に金を持っているのだからこのくらいどうということも無いだろうむしろ人様のためになる事に使ってみろと、つまりはそういうことで。
我ながら良いアイディアだと思った。
そして、
「だから、貴方はいい加減にいなくなるべきだわ。迷惑なのよ」
「迷惑なのはどっちだと思ってるんだろうね、このナマクラ刀。君が金を持ってなかったせいで俺に迷惑がかかってるんだけど」
「貴方は良いのよ。鬱陶しいから。というかウザいもの」
「…ウザいとか言うな!」
目の前には険悪なムードを醸し出す二人組。二人組のうち一人は、言われたくない事を言われたのか若干涙目だった。どうでも良いが。
しかし、そんな二人を見ても……不思議と自分の中に怒りがため込まれていくような感覚が、今の自分には全くと言って良い程に無かった。すぐ傍でこんな馬鹿らしい言い合いをされていたら、否が応でもイライラが溜まるはずなのだけれど。
…座っている席のせいかもしれないが。
何か……強い力で握られ歪んでしまったとしか考えられない机の縁から視線を外して、店内をぐるりと見渡す。
いつも通りだった。友人連れがいたり、男女の組み合わせがあったり、子供と母親で来ていたり、テイクアウトをしていく忙しげな人々がいたり、楽しげに談笑しているグループがあったり、逆に一人だけで黙々と昼食を取る人がいたり。
いつもと全く変わらない風景。
こういうのを見ると、妖刀が人間化してしまった事が嘘のようにも思え……無い。嘘だとか全く思えない。
良く考えたら自分にとっていつも通りというのはつまり、首なしライダーが街のどこかにいたり、闇医者がそんな彼女にベタ惚れだったり、黒人のロシア人が寿司屋で働いていたり、冗談のように趣味で情報屋を営みつつ生計を立てている奴がいるような状況なのだ。
これで妖刀が人の姿を取ったとしても、全然非日常じゃない気がする。
だが、これが世間一般でいう非常識な展開である事も分かっている。
まぁ……ハッキリ言ったら、そんな事は一つだって関係無い。
彼ら彼女らはここにいて、自分もまたここにいる。
ただ、それだけなのだから。
そう…それだけなのだ、けれど、
「ねぇねぇシズちゃん!このチビと俺だったらどっちが好き!?」
「こんなウザヤを選ばないわよね、静雄!」
「ウザヤって言うなチビガキ!」
「ガキは貴方でしょ!?言っておくけど、私貴方より年上だからね!」
「…手前ら」
ちょっとこの騒々しさは『それだけ』で済ませられなくなっていた。臨也と罪歌の間だけで言い合いをしてくれていた間は良かったのだが、そこに意見を求める形であれ自分を巻き込もうとするなら話は変わってくる。
今の今まではどうにか二人が作り出す喧騒を聞き流せていたけれど。
…もう無理。
ガバッと勢いよく立ちあがって、静雄は怒鳴った。
「昼飯くらい黙って食えねぇのかぁぁぁぁっ!?あとノミ蟲は大嫌いだ!」
「って事は私?私の方が好きなのね静雄!」
「ちょっと待てよ年増女!お前の事は憎いかもしれないだろ!?」
「憎しみは愛と表裏一体なのよ!」
「だから黙れって言ってんだろうがァッ!」
叫んで。
ぐーぱんを臨也の顔面に食らわせた後、罪歌にでこぴんを食らわせて。
それだけでもある程度スッキリしたので、静雄は改めて席に腰を下ろした。
「ったく…おい、ノミ蟲。フライドポテトいらないならよこせ」
「……はい」
「…おう」
左手で顔面を覆いながら、空いていた右手で差し出されたフライドポテトを受け取り、その中の一本を口に運ぶ。
「うぅ……シズちゃんのぐーぱん久々に直撃した…」
「痛い……」
それぞれ顔面を、額を抑えて呻く目の前の二名。
ようやく大人しくなった二人に満足しながら、静雄は臨也のフライドポテトを食べつくすべく手と口を動かす事にした。
今日、ようやく少しスッキリ出来た瞬間だった。
煩いとか思っても、自分にかかわりない+昨日の席だから耐えられてるシズちゃんでした。
それにしても、シズちゃんの非日常って何だろうね。
PR
この記事にコメントする