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実際にこんな光景を見たら唖然とするしかないと思いますが。
食事後。
「静雄、私を放りだすまでまだ時間があるんでしょ?」
「放り出すってお前…夜だし仕事があんだから…」
「だってそうじゃない。放り出される私の身になって。だから、放り出す代わりに私と静雄『だけ』で一緒に行動して欲しいの。嫌なら愛させて」
「……」
なんてやり取りがあり。
今、自分たちはゲームセンターにいた。
つまり二択のうちの最初を選んだのである。
仕事再開まではまだまだ時間があったから遊んでやるのも良いかなと思ったのが一つの理由。罪歌の子供たちならともかく、それらの『母』である彼女と戦いだしたらキリがないような気がしたのがもう一つの理由だ。流石にそんな理由で仕事に遅刻したくは無い。
ちなみにゲームセンターに来た理由と言うのは、
「覚悟しなよナマクラ」
「大した自信ね、ウザヤの分際で」
…何がどうなったか、臨也vs罪歌のゲームバトルが決定されてしまったのである。
というのも先ほどのやり取りの後に。
「…ちょっと待てよナマクラ」
「ナマクラって何なのウザヤ」
「『だけ』って何?俺を置いてくつもり?」
「元から貴方は対象外なのよ。去りなさい」
「ひっどいなぁ……俺も人間なのにさ」
「そういえばそうだったわね。それなら、愛してあげましょうか?」
「ごめん、それは絶対に嫌だ。ていうかいい加減に折れろよお前」
「それこそ嫌。まだ全人類を愛せてないわ」
「…だからさぁ、そのセリフ止めてくれない?人間愛を謳う俺とキャラ被ってるんだよね」
「自意識過剰よ。仮にそうだとしても、被ってるのは私でなく貴方じゃ、」
「だぁぁぁぁ!喧しい!ウダウダ言うくらいなら喧嘩でも試合でもして決着付けろッ!」
……というやり取りがあって。
結果として、ゲームセンターで勝負という事になった。
種目は、言いだした張本人になってしまった自分が決めた。まぁ、臨也に任せたら彼が一番得意な物を選ばれそうだし、罪歌はそもそもゲームセンターに来た事さえ無いだろうから、これはこれで公平でよかったかもしれない。
というわけで、二人には『太鼓の達人』をやってもらう事にした。
これなら臨也もあまりやったことがないだろうと判断してのことだったのだが……。
「……ミスったかな」
ほんの少し二人から離れた所に立って、静雄はポツンと呟いた。
罪歌は良い。どこからどう見てもこういった場所に来る年齢だし、服装だ。だが、臨也が問題だ。何せ彼はいつもと同じ黒い服装で、しかも見た目は高校生女子である彼女に負けまいと真剣な表情を浮かべていて。
しかも手に握られているのは『太鼓の達人』なのだからナイフではなくて木の棒。
臨也の名誉やら何やらについて興味は無かったが、これを彼の取り巻きとか旧友とかに見せたらとんでもない事になる気がした。
…写メ撮ってセルティに見せようか。
「…あれ?…静雄さん…?」
「ん?」
ごそごそと携帯を取りだしたところで声をかけられ、振り返るとそこには罪歌と同じ顔をした……あぁ違う。罪歌『が』同じ顔をしている少女の姿が合った。そのやや離れた所に二人の男子の姿も確認できる。
そちらの二人は臨也に意識が向かっていてこちらを見ていないから放っておいて。
静雄は杏里を見た。
「学校帰りか?」
「はい……それで、友達が遊びに行こうって…いうことで」
「ここにね…」
その『友達』というのは二人の男子のうちの金髪の方だろう。
ふぅん、と頷いて、あぁ、と静雄は思い出した事が合ったので杏里に伝える事にする。
「しばらくしたら俺、仕事があるからいなくなんだけど……対決がキリねぇと思ったら罪歌とノミ蟲は放っといて帰れよ。ノミ蟲だって好き好き言ってやがる人間が傷つけられるのは嫌だろうから、罪歌の事は放っとけねぇだろ」
「…はい…あ、明日は…?」
「仕事終わったら速攻であの二人を探すつもりだけど」
「…ありがとうございます…ところで…あの二人」
ちら、と太鼓をたたき続けている二人を横目で眺め、彼女は首を傾げた。
「いつから…あんな状態なんです?」
「飯食った後からだな」
答えながら、そういえば彼女らが学校帰りと言う事は、何時間も二人は対決を続けていて、自分も何時間もぼうっとしていたという事なのだと気づく。
そして、案外それは平和な時間だったなと思い、毎日がこうなら良いのにと思った。
黒コートが太鼓の達人……しかも永遠の二十一歳でvs外見高校生。
臨也を知る人が見たら呆然とするどころの話ではない。
黒コートが太鼓の達人……しかも永遠の二十一歳でvs外見高校生。
臨也を知る人が見たら呆然とするどころの話ではない。
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