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学生時代。クーデター前のボスと次席です。
三十とか四十とか、そんな歳になった自分たちはどんな風なんだろうなぁ。
なんて、あまりに唐突すぎる言葉を鮫が口にするものだから、何と反応するべきか分からず、一瞬だけぴたりと身体の全機能が止まった、気がした。
「未来の俺たちはどんな風になってんだろうなぁ」
もう一度、彼が同じような事を言った時、ようやく身体の全機能が回復して。
自分がやったのは、鼻で笑う事。
「テメェ、その歳まで生きていられるつもりか」
「あぁ、そりゃそうだな」
鮫は頷いて、で?と答えを促してきた。
……人の話を聞いていたのか。
苛立ちを通り越して呆れしか抱かなかったが、何故だろう、何となく答えても良いような気分になって、口を開く。
「変わらねぇんだろうよ。三十になろうと四十になろうと」
「確かに、簡単には今と違う自分ってのは想像出来ねぇよなぁ……」
「テメェはどう思ってんだ」
「俺かぁ?」
「言い出したのはテメェだろう。何か考えた事でもあったんじゃねぇのか。それとも、それは単なる思いつきか?」
言いながら、どちらかというと後者の方が確率が高いと思った。彼が何の考えもなしに言葉を振ってくるのは良くある事であり、ならば今回だってそれが適応される可能性は十分にある。
だから、思いつきなのだと即答する彼を想像していた。
しかし、鮫は少し考え込んだ後、ぽつりと呟くように別の言葉の羅列を、口にした。
「アンタは結婚くらいしてんだろうなぁ」
「……は?」
「いや、だって御曹司だぜぇ?ならやっぱよぉ、二十代には嫁さんの一人くらいもらってんじゃねぇのかぁ?」
首を傾げながらそう言って、彼は、そのまま言葉を続ける。
「子供は何人だろうなぁ……二人ぐらいはいた方が良いと思うぜぇ。んで、男と女の一人ずつが良いんじゃねぇか?日本じゃ『イチヒメニタロー』って言われてるらしいし、姉と弟ってのが一番良い組み合わせかもしれねぇ」
「……」
予想外でしかない言葉の羅列を耳にしながら、こいつはどうしてこうも自身の事を口にしないのだろうかと呆れた。どうせ、先に頷いたように、三十くらいまで生きていられると思っていないのだろうが。……あぁ違う。生き残る自信はあるだろうが、死ぬ確信もあるから、そんな事を話そうと言う気が起きないのだ。
そして自分の事ばかり口にする理由と言えば、この鮫から見ると、自分は何より死ににくい存在だからなのだろう。
それはそうだ。少なくとも自分は鮫より早くは死なない。自分が死ぬのは、彼が死んだ後でしか有り得ない。……それが彼という剣を持っていると言う事の意味。
もしもその意味が覆るような事があったとしたら、それは。
紛う事無い己の意思がそこに存在しているのだろう。
「……どうせ持った所で形だけでしかねぇな」
勝手に語られる自分の未来を遮るように口を出して、腕を組む。
「まぁそれも、仮にそんな事態が起こったとしたらの話、だ。それに、どうせ相手の方もボンゴレとの繋がりが欲しいだけでしかねぇんだろうよ」
「アンタの事が好きで好きで仕方ねぇやつがいるかもしれねぇぞぉ?」
「どうだかな。相手がそう言ってきた所で俺は信じねぇだろうがな」
「捻くれてんよなぁ……アンタ」
「煩ぇ」
しみじみと呟くスクアーロの頭を軽く殴ってから、とにかく、と言葉を繋ぐ。
「テメェが思う様な事は絶対に起きねぇから残念がれ」
「……けどよぉ」
軽くだったと言うのに、それでも痛かったのか頭を抱えながら頷く鮫は、なおも言い募ろうとしたようだった。
なので今度は普通に先ほどと同じ場所を殴って、言う。
「分かったな?」
「……………痛ぇ……」
「分かった、な?」
「わ……分かった分かった!だから拳作ってんじゃねぇよ!」
慌てる鮫を満足しながら眺めて、拳をほどいてくるりと振り向く。
ずっとテラスに出続けていると言うのにも、そろそろ飽きた。今は部屋に戻って静かに本でも読みたい気分だ。もっとも、この鮫がいる限り騒々しさは尽きる事無く存在しているのだろうが。
やはり気絶させてでも追い出してしまうべきだろうか。
ついてくる気配を感じながら、息を吐く。
全く、こうも馬鹿の一つ覚えのように付き従いついてくる馬鹿が存在するのだ。
婚姻などして、それより程度は低くても同じような存在を作り出すなど、鬱陶しくて面倒でしかない。
仲良しさんを目指しました。どうだろうか……仲良くなってるかな。
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