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ネーナさんのお話。独白っぽい。
08.伸びる影
夕暮れは、嫌いだ。
昔は好きだった。赤、というのがとてもとても好きで、けれども、今は何だか好きになれない。そして……夕暮れは、嫌いになった。
嫌いな物に何故、と言われても困る。
ただ、分かっていることが一つ。
夕暮れは、独りを強調する。
足下を見れば、影が見える。
後ろから夕日を浴びると、目の前に伸びている影が目に映り。
それが、ただ一つしかないことが強調される。
昔は、横にそれぞれ一つずつ、あったはずなのに。
あったのに、もう、無い。
その事実の何と悲しい、悔しい、空虚なことだろうかと。
目を閉じれば、兄の顔はまだ浮かんでくると言うのに。
同時に浮かんできた難い仇の顔に、思わず手を握った。爪が手のひらに食い込んでしまうほど強く、強く。
赤が好きではなくなったのは、アイツのせいだ。
アイツの機体は真っ赤だった。アイツのせいで長兄がいなくなったときも、赤い花が咲いた。アイツに関わる忌まわしい記憶には、いつもいつも赤がつきまとう。
そのせいで、赤が好きではなくなった。
それが嫌いにならないのは、ひとえに自分の髪の色故だろうか。
この髪は、兄たちに褒められたこともある髪だから。嫌いにはなれない。
赤い色は好きではない。
けれど夕暮れは嫌いだ。
これからもきっと、ずっと、永遠に。
アリーさんもだいぶ色々やっちゃったよね……という話。
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