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超兵たちの話。二期最終回後です。
12.白いシーツ
つまるところ、自分はこういう光景にあこがれていたのだろう。
ぼんやりと、ふわりと広がる白く薄い布を眺めながら思う。
別に、シーツを広げる瞬間で無くても良い。優しい笑顔で出来た食事を運んでくるような姿でも、子供を穏やかに迎え入れる姿でも、何でも良かった。ただ、そこに『母親』と言う物を見る事が出来るのならば。
自分は母親に憧れていた。
むしろ、親、というものに憧れているのかもしれない。
自分にだっていたのだろう彼らは、けれども記憶と共に消え去ってしまった。拾い上げるには粉々になりすぎて、破片の一つも残っていない。何一つとしてこの頭の中には残っていないのである。
だから、自分は親を知らない。
知っていたけれど、もう識らない。
全ては永久に手の届かない所に行ってしまったから。
確かに存在を示す憧れの理由は、それ。
届かないから憧れる。
それにしても……彼女は、本当にそう言う姿が似合うと思う。彼女の仲のもう一人の同居人ではこうはいかない気がするから、やはり性格と言う物は大きい物なのだ、何て事を考えてみた。
あまりに我が身に当てはまりすぎて、少し笑った。
自分だって彼女の事は言えるワケでもないのだった。
「……ねぇ、ハレルヤ」
整っていく部屋を眺めながら、正反対な程に違う性格に、声をかける。
「平和、というのは素敵だね」
『暇すぎて欠伸が出そうなほどにな』
「そうだね」
返ってきた言葉はそっけなかったが、それで十分だった。
マリー=マリア=お母さん、という連想が働いて出来ました話です。
白いシーツを広げる様は、本当に似合うだろうなぁと。
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