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逃げられませんが逃げないと死にますね。現代の話です。
095:逃げられない
「恭弥、これは無いと思う」
「何言ってるの、当然の報いだよ」
「これが…?本気で…?」
「まだぬるい方だと思うけれど」
「マジかよ…」
などと嘆いているどこかの馬はもう無視することにして、雲雀は茶を飲みつつ応接室で風紀委員の仕事に意識を向けることにした。こんなのにかまけているほど、自分は暇人であるつもりはない。
書類に目を通しながら、たまに茶を飲んで、少し止まって、時折足下に転がしている馬を蹴りつけて、それから書類にペンを走らせ、馬を踏みつけて、書類を捲り、馬の腹に踵をめり込ませてみたり。
そして意外と馬が音を上げるのは早かった。
「ギブギブ!恭弥本当に勘弁してくれ!」
「こらえ性のない人だね」
「この状況でそれを言うか!?」
「あの状況を作り出しておいてよく言うね」
「あっ…あれはだな…」
と、簀巻きにされた状態で転がされているディーノは、すっと視線を他方に逸らした。
「そのな…まぁ、不可抗力ってことで…」
「仕事終わったら咬み殺すから待ってて」
「恭弥!?」
「煩いな。貴方のおかげで制裁が加えられなかったんだよ?」
不機嫌を隠さずに、雲雀は答えた。
この馬の乱入のせいで、しかも傍に彼の部下がいなかったせいで、制裁対象にごたごたしている間に逃げられてしまったのである。
「僕の中の苛立ち、どう処理してくれるの」
「…や、やっぱりそういう流れ…?」
「待っててね。思い切り殴ってあげるから」
笑みを浮かべていってやると、どこか絶望めいた表情を浮かべられた。心外だ。
殴るというか咬み殺すというか。咬み殺すといわれず殴ると言われているだけ、ちょっと加減されてるかも。
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