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もう、、七不思議名だけで誰関連かわかるっていう。
「遅いよ」
最強の風紀委員長・雲雀恭弥はグラウンドの片隅の、野球場の中央に立っていた。
見るからに不機嫌そうなその様子に、先ほどまでとは別の意味で足が竦む。同じ恐怖ではある。しかし、先ほどは実体の無い物に対する恐怖で、こちらは目の前に存在がある者に対する恐怖。
実体のない存在と目の前にいる存在の、どっちが危ないかはさておいて。
どっちが今直ぐに直ぐに危ないかは明白だろう。
「そりゃ悪かったなぁ」
「…ごめん」
恐ろしさの余り何かを喋ると言う選択肢すら思い浮かばない綱吉とは対照的に、スクアーロとクロームは普段通りに雲雀に対して声をかけていた。
よくもまぁそんな事が出来るものだ。今の彼は群れを目にした時以上に不機嫌で、苛付いている。正直、自分には話しかけようという気すら起きない。話しかけただけで彼のイライラが破裂しそうな気がするし、実際そうだろうから。ただただ、回れ右で一目散に走り去りたい気分である。
けれども。
「…まぁ、今回は許してあげるよ」
予想外に、雲雀は苛立ちをあっという間に収めた。
今のは絶対にトンファーで殴りかかる所だろうと思っていただけに、誰かが……あるいは自分が殴られる事を良しとしていなくても、唖然として肩すかしをくらった感じを抱く。
何だろう…イライラの割には機嫌が良いんだろうか…。
ワケが分からないながらも先に雲雀の方に行ってしまった二人を追って、綱吉も足を動かし始める。立ち止まったままではどうしようもないし、ひとまずかの風紀委員長の機嫌は直ったようだから近づいても大丈夫だろう。
強くなれるのは…まだ先な気がする…。
クロームに会う前に決意した事を思い返して、軽くため息。
「何ため息なんてついてるの、君」
「え!?あ、いや…自分のダメさに思わず…っ」
突然の質問に条件反射で答え、顔を上げて息を呑んだ。
いつの間にか三人の所に辿りついていたのは、距離が短かったから分かるにしたって。
流石に、何の前振りも無く武器を構えている雲雀を見たら表情は引きつる。
「雲雀さん!トンファーしまってください!」
「嫌だよ。君を咬み殺す事にしたから」
「えぇぇぇ!?俺、何しました!?」
「何もしてないよ。でも苛つくから」
冗談のようなせりふだったが、見れば目が本気だった。
くら、と堪らず眩暈。
リボーンにけしかけられるままに夜の校舎に足を踏み入れて、何だかんだで半分まで七不思議を解き明かしたと言うのに。ここで終わってしまうなんてあんまりだなぁと思い、同時に、どうして不法侵入のスクアーロとクロームが制裁対象になっていないんだろうと現実逃避的に考えた。さっき謝ったからだろうか。
ともかく、分かっているのは最早、逃げても無駄だということだ。
さようなら、俺。そんな言葉がリアルに脳裏に瞬く中、トンファーが目の前で振りあげられ……
「恭弥、このバッドが七不思議なのかぁ?」
「あぁ、そうだよ」
たのに、鮫の言葉にくるりと体の方向を転換して、気づかない内にバッターボックスに移動していた二名の方へと、彼は行ってしまった。
綱吉はポツンと取り残され、呆然とする。
こういう場合はどうしたら良いんだろう。もう逃げても良いのだろうか。でも逃げたら七不思議が全部探れていないという事になって、リボーンから口にするのも恐ろしい罰ゲームが与えられる事は間違いない。
三人の所に行くか。
家に帰るか。
……選択肢は二つだけだったが、結局選べるのも最初の一つだけだった。
やっぱりリボーンは怖いのである。
「…成程なぁ?」
今度は恐る恐る近づくと鮫が丁度、バットを一本手にとって持ち上げている所だった。
「確かにこれは普通じゃ持ち上がらねぇなぁ」
「…え…っと、それが五つ目の七不思議の?」
「『呪いのバット』だよ」
面白くもなさそうに、応えたのは雲雀。
今度はトンファーを出す素振りも無く、欠伸交じりに彼は言葉を続けた。
「赤ん坊が山本武の訓練用にと渡したバット。普通の人じゃ持ち上がらない重さらしい」
「だから、何でもないヤツが驚いてそういう話になったっつーことだなぁ?」
「うん」
こく、と頷く風紀委員長。
その素直さに、驚きしか覚えられない綱吉だった。
弟妹同盟が少し入ってます。前回に引き続いて。
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