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アザディスタンのお二人のお話です。
18.コンタクトレンズ
「シーリンはどうして眼鏡をかけているの?」
「…はい?」
あまりに唐突な問いに、シーリンは目を丸くした。
昔から自分は眼鏡を付けていて、もう既に『そう言うもの』だと認識されていると思っていたのに……一体、何でそんな質問が飛び出てくるのだろう。自分からするとその問いは些かではなく時期外れな物でしかない。
そんな風に思われている事に気付いているのかいないのか、皇女は首を傾げてそのまま言葉を続けた。
「だって、コンタクトレンズって、あるでしょう?」
「コンタクトレンズは嫌いなの」
「でも、眼鏡って大変じゃない?」
「それ程でもないわ。何事も慣れ、っていうのはあるのよ」
「慣れ……るものなの?」
「慣れるものなのよ。私がいい例でしょう」
ほら、と眼鏡を指さしてみせると、彼女は黙ってまじまじとそれを見た。
「…そうなのかもしれないけれど……見れば見る程慣れるとは思えないわ」
「まぁ、かけてない人から見たらそうかもしれないわね…で、もマリナ、何かあったの?その質問はあまりに突然だけれど」
「いえ、刹那のお友達が眼鏡をかけていたのを見て……ちょっと気になって」
「…」
刹那と言うのは確か、CBのガンダムに乗っている少年だったはずだ。そしてその友達と言うからには、眼鏡をかけていた何者かもCB関係者であることは間違いないだろう。
まだ交流を止めていなかったのかと、ほんの少しの呆れを込めて言葉を紡ぐ。
「……マリナ、貴方にはアザディスタンの皇女であるという自覚があるのかしら…」
「あるわよ?でも、それと刹那は別問題よ。彼は良い子だから……絶対に私に危害を加えるような事はしないわ」
そう言って浮かべた彼女の頬笑みに。
何を言っても無駄なのだろうと、シーリンは隠す事も無くため息を吐いた。
しかし、200年後に眼鏡ってどのくらいの普及率なんでしょう。
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