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ついに100題終了!最後はこの二人。
100:さよならと
「おんぞーし」
「何だ、バカ鮫」
「暇だから構え」
「黙れ」
言いながらも妙な戯言を言い出した、最近妙に傍をうろつく年下の頭に拳を重力に任せて衝突させる。衝突させるのは右手に持っている本でも良かったのだが、そうすると一時的とはいえ本の続きが読めなくなるので、止めた。
こんなののせいで行動が妨げられるのは些か、不本意だ。
故に何事もなかったかのように、ザンザスはページを捲った。
対して、痛みに頭を抱え、しばらくは何も言えず黙り込んでいたスクアーロは、直ぐに復活を果たしてこちらに噛みついてきた。
「いきなり何しやがんだぁ!」
「煩ぇ。用事がねぇなら帰れ。つーか毎日毎日どうしてこんなとこまで来んだ」
「え?そりゃお前に会いに来てんだろ?」
きょとんとした表情と共に告げられた言葉に、ページを捲る手が思わず止まる。
そんな自分の様子に気付いた様子もなく、何でもないように彼は続けた。
「けどなぁ、邪魔ってんなら今日は帰る。あ、そうそう、これ土産。明日も何か持ってくるから楽しみにしとけぇ」
「…誰がするか。テメェが持ってくるモンは全部口に合わねぇ」
「とか言って全部食ってるくせになぁ…ま、そゆことで。じゃーな」
ひらりと手を振って、テラスからひょいと飛び降りる影に。
「……人の話は聞け」
辛うじてそう呟いたが、当然ながらその声は届くわけもなく。
それにしても別れの挨拶を再開の約束にしてしまうその無頓着さは健在で、総合して、彼に感じるのはやはり呆れの感情であり。
明日は何を持ってくる気なのかと、本日彼がおいていった林檎を手に取り、囓った。
最後はこの二人にしたかったのですよ。
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