式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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お使いのお話。パシリじゃないよ、念のため。
四時間目が終わって直ぐの教室にて。
慶次がそう言えば、と口を開いた。もちろんこちらを見て。
「ねぇ、今日も購買のパン食う気?」
こくり。
「あ、じゃあさ小太ちゃん、今日もついでに俺の分も買ってきてくんない?焼きそばパン、いつも俺が行くときには無くなっちゃっててさぁ」
こくり。
「さっすが!話が分かるねぇ!」
とても嬉しそうな慶次に、政宗が呆れたような視線を送る。
「テメェで行けやニートが」
「ニートって酷くない!?俺、ちゃんと学校来てるんだけど」
「君なんてニートで十分…いや、むしろ十二分だと思うけどね」
「んなっ…半兵衛お前!」
「ケンカはいけないでござる!」
「ケンカじゃなくてこれは決闘!てなわけだから勝負を受けろ!」
「何で僕が君のような男の相手をする必要があるんだい?」
「竹中殿もそのような挑発は止めてくだされ!」
賑やかな会話を背にして、小太郎は教室から出た。
今日は焼きそばパンを頼まれた。あれは人気のパンの一つであるから、少し早めに行ってしまった方が良いだろう。その方が空いているし、確実にパンを買ってくることが出来る。しかし…さて、自分は何を買おうか。
歩きながら直ぐ横にある気配には当然気付いて、だが話す事もなければ喋る気もないために無言のままに廊下を歩いていくことにする。彼もそれで良いと思っているようで、何も言ってこない事もある。
そのまま、すたすたと足音も立てずに歩く。
すると、隣の彼もそこそこ足音を忍ばせて歩く。
合わせているのだろうか。ならば何のために……などと考える必要もない。何となく、そうするのが面白そうだと思ったか、気が向いたというだけなのだろう。行動理由としてはそれだけでも充分に違いない。
階段の所にさしかかって、そこで小太郎はふっと疑問を覚えた。
そういえば、彼は自分で昼の弁当を作ってきているのではなかっただろうか。いつもは付いてこないし、今日だけ気まぐれを起こしたのだとしたらそれはどうしてだろう。
どういうことかと首を傾げていると、隣から、楽しげに笑う声が聞こえてきた。
ちら、と視線を向けると、やはり彼は笑っていて。
「…アンタ、何で俺がついってってるか考えてるだろ」
…こくり。
「大したことじゃねぇ。興味があっただけだ」
興味、とは一体何に。
ワケが分からず首を捻っている間にも、彼は言葉を続ける。
「にしても……アイツら三人とも自分たちの言い合いに集中しすぎなんだよ。全っ然俺が出て行ったことに気付いてねぇぜ、アイツら」
…あぁ、確かにそれはそうかも知れない。
半兵衛くらいは気付いていたかも知れないけれど、後の二人は目にすら入れていなかっただろう。あぁなるとやっぱり。
「付け加えて俺はあの言い合いに加わる気はねぇ。You see?」
こくこく。
頷いて、その頃にはもう購買まであと少しだった。
人だかりが、中々にある。全員が全員、急いで自分の目当ての物を買いに来たのだろう。ここで売っている食品が易くて美味しい事は学院内にいる誰でも知っていることである
そんなワケなので、この状況もそれ程疑問はない。
「俺が来た理由を教えてやろうか?」
どうやって攻めようかと考え倦ねていると、ふいに政宗がに、と笑った。
何だ?と見れば、彼もまたこちらを見ていて。
「お前の仕事っぷり、見ててやるよ」
…成る程、買うパンを取る様子をあわよくば見よう、ということだろう。
「俺は適当で良いから何か買ってこい」
…弁当は?
「どーしたよ…ん?弁当?Ah、あれは今日は作る暇がなくてな」
それは珍しい。
納得して、小太郎は一礼をして人混みの中に入っていった。
~オマケ~
政「あ、元就」
就「む。政宗、どうしてかような場におる」
政「ちょっと野暮用でね…ところでアンタらは?」
就「我も似たような物ぞ。今は待ち人を待っておる。我の昼食を買いに使わしたのだ」
政「へぇ…元親か?」
就「うむ。されどごねるのでな、とりあえず人混みの中に投げ込んでやったのだ」
政「…凄ぇな」
そしてラストで元親ドンマイ話に。
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