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お題でも何でもない途美って久しいですね。生徒会のお話です。
意外かもしれないが、生徒会だって真面目な仕事はしている。
他校との交流、地域のボランティア活動への参加、そのほか諸々、やっていることは一応はあるのである。ただ、それらはヴェーダという学園所有者の世話を見る、という実に大きな仕事のせいで見えないだけで。
そして、今日はそんな仕事の一つ……ちょっとした討論会が行われていた。
といっても、やることはそんなに無い。生徒会メンバーとあと…まぁ、部外者がいたりするときもあるが、というかいつもいるが、そのメンバーで何か学園のために出来る事はないだろうかと話し合うだけだ。意見が出たら実行に関しての話し合いがあり、意見が出なければそれで終わり程度の物ではあるが、これで変わったことも色々とある。
しかし今回は意見も出そうにないと、刹那は生徒会室備え付けの椅子に座って机に向かい、ガンプラを組み立てながら思った。咎めるような視線がティエリアから送られてくるが、さほどの問題はない。話し合いにはとりあえず参加しているし。
それよりも、刹那が今回は意見が出ないと思う理由。
それはこの場にいるとある人物のせいだった。
「…ヴェーダ」
「あら、何かしら」
「どうして貴方はここにいるんですか」
「暇だったんだもの」
「部屋で書類の整理でもしていてください!」
バン!と音を立てて机を叩き、立ち上がったのはいつものごとくティエリアだった。
ちなみに他のメンバーも、思い思いの反応をしている。呆れていたり、楽しそうに笑っていたり、どうして良いのか分からずにおどおどしていたり、諦めたように嘆息している教師までいる。というか、その教師がロックオンであるのが不思議なのだが。生徒会に関する事柄に関わる教師はヨハンではなかっただろうか。これもいつも通りだが。
無関心ながら状況を見て刹那は思い、ティエリアとヴェーダのやりとりに耳を澄ませた。
「良いですか、貴方が毎回毎回書類の期限ギリギリにしか行動を起こさないから、我々が酷く大変な目にあっているんです!」
「知ってるわ。これからもよろしくね、ティエリア」
「よろしくされたくありません!」
「つれない子ねぇ…リジェネ、貴方は手伝ってくれるわよね?」
「僕?僕は面倒事は嫌いだからリヴァイヴでもけしかけるけど」
「あぁ、それは良いかもしれないわ。あの子真面目だもの」
「…巻き込むこと前提なんだ」
「アレルヤ、そこにツッコミ入れたら負けだぜ。いつも巻き込まれてるだろーが」
「…これが学園所有者なんだよなぁ…」
最終的には全員での会話になったその話を聞きながら、刹那はふと、それには関係ないのだがとある案を思いついた。
思わず、それを口にする。
「…あいさつ運動、というのは無いのか?」
「……あいさつ運動?」
きらん、とヴェーダの目が光った、気がした。
気付いたときにはもう遅く、彼女はどこか嬉しそうな色の表情を浮かべてこちらに迫っていた。失言だったと、気付く。
いやまぁ、気付いたところでもうどうにもならないが。
タイムマシンがあったら数秒前の自分の事を殴ってでも止めに行くのにと悔やんでいる間にも、彼女の手はしっかりと刹那の肩に掛かっていた。
「刹那、それは、一体?」
「…他校ではやっていると聞いたから…」
「へぇ……あいさつ運動…あいさつ運動ねぇ…」
すっと体を離し、ブツブツと呟き始めるヴェーダ。
あぁ、と刹那は天を仰ぎ見た。何というか、自分のせいで今回の地獄は決定してしまったようだ。後で全員一人一人に謝らなければならない。
…話し合いの場において、ヴェーダがいると誰も意見を出さない理由。
それが、これだ。
彼女はどんなアイディアも自分好みにアレンジしてしまう。いっそ見事と言えるくらいに。お陰でいつも面倒事に巻き込まれているのだが。
だからこそ、誰もが黙る。
ここはそう言う場だったのだ。
……何かが違うとは思うが。仕方ないのだ、現実だし。
などと思って現実逃避をしてみたのだが、しかし、それを他のメンバーが許してくれるわけもない。直ぐに、ハレルヤの地をはうような声が聞こえてきた。
「チビガキ…テメェなんて事を言いやがった…」
「ハレルヤ・ハプティズム、君はまだ良いだろう、生徒会でもないんだからな」
「っせぇな。アレルヤが面倒かけられんじゃねぇか」
鬱陶しそうに言うハレルヤの言葉を遮って、リジェネが呟くような調子で言う。
「あいさつ運動って当番制かなぁ…じゃ、ティエリア僕のもよろしく」
「なっ…」
「頑張ってねー」
…生徒会は今日も平和だ。
…………………………多分。
口は災いのもと!
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