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00一期終了直後くらいの。
気が付けば一人だった。
知った気配も知った顔も知った姿も知った空気も無く、ただ感じるのは知りもしない何かの存在。幾つも存在しているそれに、否応なしに不安が育っていく。
一体、ここはどこなのだろう。
知らない場所だと言うのは、確認するまでも無い事……だと思う。これだけ知らない人がいて、なおかつ知っている感じが一つも無いなんて、それ以外に考えられる事態が無い。知っている所が占拠されたと言うのなら、知った空気が多少は混じっているはずだから。
一体、ここはどこなのだろう。
周りの様子を確かめようと、暗いどこかの中でゆっくりと体を起こす。すると右半身が痛んだ。腕から足まで、右側がズキズキズキと。左側も痛かったが、右側ほどではない。まるで、そちら側が全てが根こそぎ引きちぎられたかのような、しかしまだ皮一枚で全て繋がったままである様な、喪失感と存在感がない交ぜになった痛みが静かにひっそりと、暗い笑みを浮かべてそこに存在していた。
一体ここは、どこ。
痛みを引きずりながら暗い箱の中から外の様子を窺うと、見覚えの無い服を纏うたくさんの人間が見えた。書類を見て何かを言い合っている男の人たち。見上げるように敵意を振りまく女の人。そして気付く。ここには味方が一人もいない。その事実は、不安の芽に水を与えた。たっぷりと、根が腐り落ちる寸前まで。良く良く育てと言わんばかりに。
ここは、どこ。
恐れに背中を押され、自分に乗っていた操縦者の姿を探す。本体の中に籠ったまま、本体の周りだけをぐるりと見渡す。外に出て彷徨い歩けば効率も良いだろう。けれども育ち切った不安の花は満開になっていて、心を体から出す事さえ恐ろしかった。彼らに心だけの自分の姿が見えるわけが無いと、分かっていても怖い物は怖い。
一体、ここは。
操縦者は見えなかった。本体の一部が焼き切られ、操縦席から彼を連れだしたらしいと分かったのは本体の様子も同時に確認していたから。その事実は花を枯らせて種を作った。ぽとぽとと胸の中に落ちるそれらは異常なほど急速に目を出し花を咲かせる。花畑になろうかと言う瞬間、それらは花弁を捨て去って蔓となった。
ここは。
助けてと叫びたかった。でも、誰に言えば良いのか分からない。逃げ出したかった。でも、怖くて恐ろしくて動けない。動きたくない。反抗なんてもっての外だ。頭を抱えて目を閉じて耳をふさいで世界から逃げたかった。始まりの瞬間から、こうなった時の覚悟はあったはず、なのだけれど。
ここは鳥籠。
不安は恐怖に生まれ変わって静かに思いを絡め捕り、気が付けば身動きなんて一つもできない状況が出来あがっていた。
そんなキュリさん。鳥=羽付き的な。
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