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親馬鹿さんと幼稚園園長さんのお話です。



 六道骸は自他共に認める親馬鹿である。
 常日頃から娘と息子の安否を気にし、可愛さの余り彼と彼女が誘拐されたらどうしようと本気で考えているくらいに、親馬鹿である。
 まぁ、息子の方はともかく娘の方は確かに危ないと、思いはするけれど。
 ……だからといって。
「六道さん!幼稚園児にスタンガンとか持たせないでください!」
「ちょっとくらい良いじゃないですか。大丈夫ですよ、ちょっとビリっとして気絶するだけの代物ですから」
「それのどこが大丈夫!?」
「死なないじゃないですか」
「そういう問題じゃないです!」
 思わず戦力でツッコミを入れるが、それすらもどこ吹く風と言わんばかり。
 骸のそんな反応に、綱吉は毎度の如く息を吐いた。
 娘が可愛いのは分かる。誘拐を心配するのもまぁ、分からなくは無いと言っておこう。何と言っても彼女はまだ年少だし。けれども、護身用にスタンガンを持たす事だけは許容できない。そんな物を園児が持っていて良いわけがないのだから。
 それを言ったら雲雀のトンファーは何だとつっこまれそうだが、あれはもう仕方がない。とりあえずあの武器は彼の身体の一部なのだと思い込むことで、綱吉はその問題を自己解決させていた。
「……とにかくですね、スタンガンは止めてください。他の園児の手に触れても問題です」
「それもそうですね……他の園児がスタンガンを使って、凪に危害を加えないとも……」
「六道さん、被害妄想が過ぎますよ」
「何を言っているんですか。心配し過ぎても困る事は無いですよ」
 冷静に事実を告げると、不思議そうにこちらを見られた。
 ……あぁもうこの人重症だ。
 頭を鈍器で殴りつけても直らないだろうそれに脱力しながら、綱吉は言葉を続ける。
「警備体制、この幼稚園は普通の所と比べるとしっかりしてますから、少しは信頼して武器を持たせるの止めてくれませんか?恭弥君のトンファーはともかくとして、凪ちゃんの護身用武器は」
「備えあれば憂いなしと言うんですがね……」
「貴方の場合、備え過ぎて憂いが生まれてるんです。良い迷惑なんです」
 園児の父母に園長がこんな事を言って良いのかと思いながらもぴしゃんと言い放って、園舎から出てきた二つの影を認めて話を打ち切る事にする。
「とにかく六道さん、明日からお願いしますね」
 
 次の日、凪の鞄の中にあやしげなスプレー缶を見つけた綱吉はがくりと膝をついた。






何回注意したって止まらない。それが骸パパです。
多分、目に子供たちを入れたって痛くないんでしょう。
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