うわさマスター臨也④

R団にからまれてる状態の臨也なお話です。

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「っていうかさぁ、」

　舞流、九瑠璃、千景の三人に踏みつぶされた状態のまま、地面に肘をつけて頬杖をついた臨也は、少々不貞腐れた様な諦めた様な声音を出した。

「一体何で俺がお前らに踏みつぶされないといけないの」

「それはね、イザ兄が私たちの使命の最大の障壁になるからだよ。だから早いうちに削除しちゃお！っていうわけなんだよね」

「は？使命？何それ」

「クル姉が天の声受信したの」

「……是」

「お前も！？お前も天の声とか聞いちゃうの！？」

　頷く九瑠璃に絶叫を上げる臨也を眺め、首を傾げる。

「クル姉『も』？それってどういう事？」

「あぁ、その辺りの事情は知らないんだ……いや、シズちゃんもそれ受信したんだよ」

　そのせいでこんな目に遭っているのだとため息を吐く兄から視線を外し、思わず双子の姉と顔を見合わせる。ちなみに傍にいたはずの千景は、いつの間にやらこれまたすぐ傍にいたはずの正臣と一緒にその辺りのお姉さんがたに声をかけていた。どうやら、話の展開上置いてけぼりにされかねない正臣を、千景がささっと誘いだしたらしい。

　千景がいなければ『R団』は成り立たないのだが、まぁ、別にどうでも良いかと思いながら、舞流は兄の上に乗ったまましゃがみ込んだ。

「静雄さんも天の声聞けるの？うわぁ、さっすが静雄さん！凄いよね凄いよね！」

「……驚……」

「俺は俺の身内が天の声受信しちゃったことに驚いてるよ……」

「驚いてるって言うか、何か嘆いてるよね、イザ兄」

「これを嘆かないで何を嘆けっていうんだよ」

「んー……」

　その言葉に舞流が首を傾げる事数秒。

　ポツンと、九瑠璃が呟いた。

「兄…………心……」

「あぁ！だよね！イザ兄の性格とか考え方とか人の物とは思えない酷い心だとか、そっちの方を嘆くべきだよねぇ！うんうん、流石クル姉分かってるね！」

「俺は良いんだよ俺は！まだ現実に存在しそうなキャラだろ！それに比べて天の声受信とか普通に考えてあり得ないだろうが！」

「うわ、自分で現実に存在しそうなキャラとか言っちゃったよイザ兄」

「……鏡」

「何、鏡見ろって……？鏡見てもう一度考え直せって言うの九瑠璃……？」

　臨也の頭側の背中に足を付けていた九瑠璃がしゃがみ、鏡を彼の目の前に差し出すと、どこか悲痛な感じの声が聞こえてきた。まぁ、だから何だと言う話なのだけれど。

「おーい、お前らー」

　と。

　そこで不意に聞こえてきた声に顔を上げると、そこには正臣と一緒にナンパみたいな事に精を出していた千景の姿があった。

「ありゃりゃ？ろっちーナンパはどうしたの？しかも一人になってるし」

「正臣の奴とはさっき別れた。ナンパは失敗……ってか、彼氏待ちに手なんか出せねぇよ」

「えー？寝取っちゃえば良いのに」

「そんなのしたら女の人が幸せになれねぇだろーが。それは絶対にダメだ」

「わぁ！ろっちー紳士的！」

「紳士が暴走族なんてやってるわけないだろ……」

　下からいらない茶々入れが来たので、とりあえずその背中に拳をくれてやって、それから舞流は九瑠璃と一緒に立ちあがり、勢いよく『足場』を蹴って地面に飛び降りた。その時に『足場』がバウンドした気がしたけれど、そんな事は気にしない。

「ねーねー、ろっちー！じゃあ、使命果たしに行こっか！イザ兄そろそろ再起不能だと思うから、邪魔は全然入らないと思うよ！」

「だな！よし、じゃあ行くか！」

「……行」

「……行くって……どこにだよ……」

　三人分の楽しい気分に水を指すかのように耳に届いた、地を這うような声に視線を下ろし、舞流はにっこりと笑った。

「静雄さんのところだよ」

「シズちゃんの……何で……？」

「だから、使命なんだってば」

　ぴん、と右の人差し指を立てて、解説する様に言葉を紡ぐ。

「クル姉が、私とクル姉とろっちーでR団を立てるようにって天の声受信したんだけど、ほら、某アニメのR団って妙に主人公の手持ちのとある一匹にこだわってるじゃん？つまりそういう事なんだよね」

「……え……って事は……」

「私たち、静雄さんゲット目指して頑張るんだよ！」

「ま、ゲットっていうか説得っていうか……妨害だよな。アンタらのそれが達成できないようにって言う」

「……妨……」

「つまりそういう事！」

　笑みを深めて、舞流は言った。

「ちなみに、静雄さんが説得されちゃったらイザ兄ゲームオーバーね！」

 

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ゲームオーバーになったらどうなるんでしょうか…。