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折原兄妹のお話です。今回はちょっと臨也頑張ってる感じ。



 目の前にあるのは冷やし中華。それは良い。
 問題は、それに、今、何がかけられているかと言う事だ。
 どばどばと滝の様に降り注ぐそれを眺め、臨也は引きつった笑みを浮かべた。
「舞流、お前の奇行にもそろそろ慣れてきたけど。でも、これは無いんじゃない?」
「え?でもイザ兄って、料理作った人の個性がハッキリしてる料理が好きなんでしょ?」
 右手にケチャップを持ちながら、何を言うのかと言わんばかりに首を傾げる舞流。その横で無表情ながら肯定の気配を現している九瑠璃。
 そんな双子たちを見た臨也の笑顔の質が変わった。
「九瑠璃、舞流」
「なぁに?イザに……痛い痛い痛い!?ちょ、イザ兄ほっぺ引っ張らないで!」
「……痛……」
「お前らにはもっと、目上の人間に対する敬意って言う物を覚えてもらわないとな……?」
 九瑠璃の右の頬を、舞流の左の頬を力一杯つねりあげながら、臨也が浮かべているのは加虐的な微笑み。
 それに気付いているのかいないのか、舞流はいつもと全く同じテンションを保っていた。
「えぇそんなの無理ぃぃぃ痛い!あと、女の子に暴力振るうなんて、モテない男の第一条件何だからね!サイテーだよ!まぁイザ兄に合わせられる女の人なんて元からいなイタイタイタイタイタ!」
「煩い。余計なお世話。っていうか無理って何だよ」
 火に油を注ぐような役割しかしない言葉に目を細めると、だって!と、悲鳴の様な声が上がった。
「イザ兄なんてのを兄に持ってたら性格歪むしか無いじゃん!」
 その言葉に。
 臨也は九瑠璃の頬をつねっていた手を離して、それを自然な流れで舞流の右頬につけた。
 右手の用途はもちろん、頬をつねる事。
「俺は俺、お前はお前なの。だからお前は目上に敬意を持たないとだめ」
「じっ……自分はそんなの持ってない癖にぃぃぃ!」
 じたばたと足掻く舞流に負けじとつねる手に力を込める臨也。
 兄と妹の二人きりの戦争はこうして、続いて行く。
 ……そして、その争いに集中しきっている二人は気付かない。
 暇そうな表情を浮かべていた九瑠璃が、何故かすぐ傍に置いてあったタバスコを手にしてフタを開け、狙いを定めるかのように二人の皿に目を向けた事を。






臨也win!かと思ったら、九瑠璃winっぽいっていうお話。
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