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そろそろ時期外れですかね。まだまだ暑いんですけれど…。
夏の食べ物シリーズを作ろうとして失敗した際の名残品です。



 赤、青、黄、紫、黒。
「うわぁ……イメージそのまんま」
「何がだい?」
「シロップの色だよ色」
 訝しげな半兵衛の言葉に、各々が持っているかき氷を順に指さして答える。
 慶次が指し示した方向に素直に視線を向けた半兵衛は、成程、とこくりと頷いた。
「真田君がイチゴ味の赤、政宗君がブルーハワイ味の青、君がレモン味の黄、僕がグレープ味の紫で……ねぇ、風魔君の黒は何?」
「……」
「イカスミだとよ」
「イカスミ……え?メニューにそんなのあったっけ?」
「慶次殿は何も知らないのでござるな。あの店には裏メニューとしてイカスミ味かき氷が存在しているのでござるよ」
 小太郎の意を汲んで政宗が口にした言葉に首を傾げると、自慢げに幸村が言った。
「他にも色々と裏メニューは存在しているのでござるが、イカスミ味はその中でも二番目に注文するまでの条件が難しい代物なのでござる。全十品の裏メニューがある中で、それを頼む事が出来る風魔殿は本当に凄い御仁なのだと思われよ!」
「……それだけ知ってる君の方が凄いと思うのは僕だけかな」
「安心しろよ、半兵衛。俺もだから」
 唖然とした様子の半兵衛の肩をポンと叩きつつ、ついには他の店の裏メニューの話まで始めた幸村を眺める。流石は甘味に命をかける男、近場の喫茶店やら菓子店やら……甘い物を出す店の事はあらかたリサーチ済みらしい。
 放っておけば長々と続きそうな燃える同級生の解説を聞き流して、慶次は改めて小太郎の手の中にあるかき氷を見た。
 イカスミをかけているだけあって、随分と黒い。美味しいのだろうかと首をひねってみても食べる気はあまりしない代物だった。少なくとも、慶次から見たら。それにしても、これが裏メニュー第二位の出現率の低さを持っていると言うが、ならば一番出現させづらいのは何なのだろう。
 知りたいような、知りたくないような。
 幸村に訊けば教えてくれるのだろうが、敢えて尋ねまいと慶次は心に決めた。







イカスミ…イカスミかき氷、かぁ…どんな味がするんだか。
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