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ちょっとエピオンにごめんねと言いたいような。
そんな感じのお話です。
64:紐
「……なぁ、あの、縛られて転がってるのってさぁ……」
「エピオンだよ」
「……何であーなったわけ?」
「えっとねぇ……あぁ、そうそう。君たちが起きなくなって困ったから、とりあえずトールギスⅢに連絡したんだよね」
「で、付いて来た、と?」
「そう言う事。最終的にウイング起こそうと武器とかバズーカとか色々持ち出しちゃったからあぁなった」
「……お疲れ」
ふぁ、と欠伸をしながら言って、デスサイズは軽く伸びをした。
起きたら夜だった。というのは良いとして、まだ現実では一日もたっていなかった事にほんのりと驚きを抱いた。あちらでは二日間いたことになっているから、こちらでもそんな感じになっていると思っていたから。
どうせなら時間の流れも一緒にしてくれたらよかったのにと思いつつ、机の上に広がっている菓子の袋から一つを選び取る。
今夜は、多分眠れないだろう。どうやら自分たちは『眠って』いたらしいと、目の前にいる彼……サンドロックから話は聞いている。ということは、朝から今まで十分すぎる程の睡眠をとっていると言う事になり、これで夜にもちゃんと眠れと言うのは無茶以外の何物でもなかった。
昼夜逆転はどうにか直さないといけないから、明日は眠くても午前午後と起きていなければならない。徹夜には割と慣れているから多分大丈夫だとは思うのだけれど、ウイングの方はどうなっているのだろうかとふっと思う。
それは明日の事か、なんて思い直して、ばり、と袋を開ける。
「そういやヘビーアームズとかナタクとかは?ウイングは普通に眠ろうとかいう、とんでもなく無謀な努力を開始してたけど」
「ナタクは寝てるよ。いつも通りね。ヘビーアームズは部屋だと思う。ちなみにトールギスⅢは帰ってて、明日もう一度来るって言ってた。その時にエピオン回収するってさ」
「そのエピオンはじゃあ、その時まで放置?」
「そうなるかなぁ」
あっさりと頷くサンドロックだったが、それに対して何を思う事も無く、そっか、とデスサイズは答えた。随分と酷い話である様に思われるかもしれないが、ここで下手に開放してしまって、今から起きてウイングの所に行かれても少し困るので、ある意味仕方が無い事ではあった。
……この人も少しくらい我慢すれば良いのに。
そう思いながらも同時に、ウイングもキッチリと相手をすればいいのと思いながら、頬杖を吐いて人差し指の先を目の前にいる彼に向ける。
「で、お前は?」
「ボク?」
指さされた彼はきょとんとした表情を浮かべ、首を傾げた。
「ボクは普通に君に付き合おうかと思ってるんだけど」
「眠くねーの?」
「そんなことない……って言ったら嘘になるけれど、だからといって君一人だけ残して眠るのも何かねぇ……?」
「気にしなくて良い」
「そう言ってくれた所悪いけれど、気にさせてもらうよ。それに……ほら、そう言う事を考えてるのはボクだけじゃないよ」
と。
サンドロックが指し示した方を向けば、そこにはヘビーアームズの姿があり。
彼は何も言わずにこちらによってきて、空いていた席にちょこんと座った。
「……夜なんだから眠れば良いのに」
「そういうわけにもいかないんだよ。ねぇ?」
『その通り。諦めて』
「……」
意見を変えない二人相手では、意見を変えない一人は勝てそうにも無かった。
二人に対して眠れと説得する事は諦めて、別の袋に手を伸ばす。三人もいるのでは、一袋開けているだけでは絶対に足りない。まぁ……朝、他の面子がこちらに出てくる頃には、多分机の上の菓子は殆ど消えているのだとは思うが。
そう言えばこの菓子は誰が買って来たのだろうと思いながら、中身をつまむ。
「眠くなったら本当に寝ろよなー……」
結局最後はそうとだけしか言えず、それに対して片方がやんわりと表情を和らげたのと、片方がにこりと笑ったのを見て、息を吐いた。
気づかいを少し、嬉しいと思いながらも。
しかし実際、昼夜逆転を直すのって難しいんでしょうか、簡単なんでしょうか……。
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