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何かバンドをする事になったらしいです。な、日輪学院な話。慶次と半兵衛です。
083:楽器
「慶次君はリコーダーで良いよね」
「良いよねって、何その既に確定事項な言葉」
「いや、だって君にこれほど似合う楽器も無いと思って」
「や、似合うも似合わないも、俺たちがするのってバンドじゃなかったっけ」
「バンドにリコーダー……斬新だね。きっと目立つよ。良かったじゃないか」
「そんな風に目立つのは普通に嫌だ!」
というか、何だその空気ブレイカ―みたいな目立ち方。
そんなの絶対にごめんだという意思を込めながら、慶次は半兵衛を睨みつけた。けれども言いだした張本人は余裕たっぷりの表情で、くすりと笑って肩をすくめる。
「我儘だね。じゃあ、リコーダーじゃ無くてカスタネット。はい決定」
「止めて!さっきより酷くなってる!」
「大丈夫、流石にカスタネット両手にステージに上がってもらうつもりは無いから。舞台袖でタンタン鳴らしといてくれれば良いよ」
「つまり舞台に上がるなと!?」
「そんな事は言って無いよ。上がれば良いじゃないか。ステージに出るかはさておいて」
……いや、まぁ、確かに舞台袖だってステージの上と言えば上だし、そこにいればステージに上がったと言えなくは無いのかもしれない。けれども。
そういうのはステージに上がったなんて言わない。まず間違いなく。
そして、そんな常識的な事を半兵衛が分からないわけがない。彼はつまり、口先で自分を翻弄して、出番を与えまいとしているのだ。もちろん、そこに善意なんて欠片もあるわけがなく、彼の言葉は悪意の黒にしっかりと染め上げられている。
ため息さえ、吐けそうにない。
「……俺さぁ、」
それでも息は自然と口から零れ落ち、慶次は額に手を当てた。
「何でお前の知り合いやってるのか分からないんだけど……」
「奇遇だね。僕もだよ」
対して半兵衛は、何でも無いようにフッと笑って言った。
慶次は良いツッコミだと思うのですが。
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