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何故かシリアスっぽくなってしまったのですが。
ウイングとデスサイズのお話です。
048:お願い
「今日はもう自爆禁止な」
「まだあと二回くらいなら問題ない」
「でもだめ」
「なら一回、」
「だけでもだめ。絶対にだめ。出来るなら明日も明後日も、ずっと」
……出来るなら、なんて言葉を付けている時点で既に色々と諦められている様な気がするが、それでも言って来るのは本当に自爆を止めて欲しいからなのだろう。
それが分かっているから、自分もそんなに強く言えない。
けれどもまぁ、だからといって自爆を止めようと言うつもりも無い。
一体どれだけこのやり取りを繰り返しただろうかと、死神に腕を引かれながらウイングは昔から今までの記憶をざっと思い返して見た。そうして分かったのは、そんな事をしても無駄だと言う事。回数を数えようにも、回数が多過ぎてやる気が無くなる。
そして……それはつまり。それほど多くの心配を、彼に与えていると言う事なのだろう。
ほんの少し、罪悪感が生まれた。
「……」
けれども、それでも自爆を止めようという気持ちにならないのだから不思議なものだ。
よって自分が辿りつく結論は、彼に気付かれないように自爆をする事。
……根本的な解決になってない事は分かっているが。
「お前はさ、」
と。
考えている内容がばれたら怒られるどころでは無い様な思考に耽っていたウイングに、前方から声がかけられた。
いつも通りの、変わらない声。
「もうちょっと、気を付けるべきだと思うんだよ」
何を、と具体的な例を挙げずに紡がれたいつも通りの声は、まるでいつもの声からそれ以外の物を無理矢理とっぱらったかの様な声で。
「……そうか」
帰ったら他のメンバーに怒られるかもしれない。
そんな事を思いながら言葉を返すと、こちらの腕を掴んでいた彼に手に、ほんの少しだけ力が籠った様な、気がした。
まぁ、つまり。あまり心配かけるなよという話。
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