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夕焼けを見て。みたいな政宗と元就さんのお話。日輪学院設定です。



016:夕焼け
 
 
 
「どの様な姿であっても、やはり日輪とは良い物よな」
「それは良いんだが、何でアンタの太陽観察に俺が巻き込まれてんだ?」
「一人では寂しいのでな」
「……そーかい」
 意外な事に生徒会長は寂しがり屋だったらしい。
 嘘じゃないだろうかと少し疑いながらも、政宗は屋上で直立の姿勢を取っている元就のすぐ傍に腰を下ろした。彼は太陽に相対する時は立っていようと自分で決めているようだが、生憎と自分にはそんなルールは適応されないのである。
 オレンジに染まる空を眺めながら、息を吐く。
 しかし、それにしても自分はどうしてこんな場所にいるのだろう。本当ならば既に家に帰ってテレビを見るなり夕食の準備をするなりしているはずなのだけれど。
 もっとも、そんな今更な事を考えて見ても意味など無いわけだが。
「そういや、何で突然夕陽見ようって言い出したんだよ」
「特に理由は無いのだがな……強いて言うならばその様な気分であった、というところか」
「……アンタでもそんな曖昧な理由で動く事、あんだな」
「滅多にないがな。我も人間であったと言う事であろうよ」
「ふぅん……」
 そんなものか、と呟くと、そんなものであろう、と返された。
「ちなみに、我の今年の目標はたまには理詰めを放棄せよ、ぞ」
「嘘だろ」
「嘘よな」
 尋ねかければ、あっさりと肯定された。
 つまりその嘘はその程度の嘘であると言う事なのだが、その程度の嘘を彼が言うこと自体が珍しい。今日は珍しい事だらけらしいと、呆れが含まれている笑みを浮かべる。
 けれども、まぁ。
 たまには良いかもしれない。
「なぁ、元就。夕日が沈んだら俺んち来るか?乗りかかった船だ、夕飯くらい作ってやってもいいぜ」
「ほう。嬉しい気まぐれがあったものだな。そなたが良いと言うなら行かせてもらおう」
 互いにそんな風に言葉を交わし。
 そして、その後は無言で、一人は沈む太陽を、一人は染まった空を眺めていた。
 





理詰めを放棄した元就さん……酒でも飲ませたら見れるかな。
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