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094:利己的
騒々しさに溢れる車内から解放されて直ぐに、それを口にしたのは半兵衛だった。
「さて、アニバサ弐アニメ録レギュラーメンバー+αの慰安会もどきで使用する旅館に辿りついたわけだけれど、ここで問題が一つ」
「何だよ」
「元就君が四人分しか予約取って無いせいで、二人ほど野宿になる可能性があるんだよね」
「……は?何で五人分じゃねぇの?」
おかしいではないかと、政宗は首を傾げた。
アニメ録司会は自分、慶次、元就、半兵衛の四人で、そこに運転手として特別に小十郎が加えられて慰安会参加者は本来五人。そこに元親が何故だか加わる事になって六人になっている慰安会一行なわけである。
だから四人分、というのは明らかにおかしい。
まさか小十郎をカウントし忘れていたんじゃなかろうかと、じぃ、と旅館予約等諸々の事務的処理を行うかかり立った元就に視線をやると、彼はしれっと答えた。
「何故我が前田慶次の予約まで取らねばならぬのだ。空気のために取れる予約など、そもそもあるわけがなかろうに」
つまり小十郎分の予約はちゃんと取っていたと言う事なのだろう……が。
「……あれ?俺ってそこまで空気扱いなんだ……?…………涙出そう」
「気を強く持て風来坊。……しかしこりゃあ……前から思ってたがイジメそのものだよな」
何やら目元をぬぐっている慶次の肩を叩き、元親はぼやきながら息を吐いた。
が、どうやらその内容が生徒会長には不満な物だったらしく。
ふん、と鼻を鳴らして元就うは腕を組んだ。
「イジメとは失敬な。我に向かってかような暴言を吐くとは無礼なぐみ……一般生徒よ」
「テメェ、今、人のこと愚民って言おうとしたな?」
「気のせいであろう。だいたい貴様は民では無く単なるその辺りの雑草であろうが」
「もはや人でもねぇ!?テメェどんだけ人なめてんだ!」
「実体があるだけ空気よりはましであろうに。というか貴様、鬼を名乗っておる時点で既に人というカテゴリーからはずれて居るではないか、自分から」
「えぇい上げ足取るんじゃねぇ!あとその名乗りにそこまでの意味はねぇ!」
ぎゃーぎゃーと喚く鬼と、涼しい顔で全てを受け流し鋭く突き刺す生徒会長と、その傍で何気にしゃがみ込んで指で地面に『の』の字をいくつも書いている空気。
そして、そんな三人を楽しげに眺める半兵衛を見てため息を吐く政宗の肩に、ぽんと小十郎の手が乗った。……とても温かな手だった。
利己的、っていうか単なる横暴な生徒会長様。
そして、果たしてチカさんと慶次さんは屋根の下で眠る事が出来るのでしょうか…。
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