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だから、あの二人に恨みは無いんですよ?でも何でかこうなっちゃうんです。余計にタチが悪いですよね。まぁ、今回出てくるのは内一人なのですが。
前回の話はこちらから。

お知らせ。
この話…修正しましたが、お題タイトルを間違えてました。間違えて、間違えたままお話書いてました…。
というわけで、お題と内容が完全に違う予感です。申し訳ありません。
ちなみに「氷の」と、お題を思いこんでました。



074:氷の檻
 
 
 
 その電話が入ったのは、夜もふけた頃だった。
『政宗、どうしよう。俺……生きて帰る自信ない』
「あー……」
 今にも泣き出しそうな慶次の声に、思わず頬をかく。
 彼らがどうなっているのかは何となく、元就と半兵衛の台詞のとんでもなく酷い数々から把握している。クマが出てくる山だの、実は言っていたのよりもさらに遠くにあるキャンプ場だの、そりゃあ泣き言も言いたくなるだろうと同情しながら、少し痺れてきた足を崩す。
 それから辺りを見渡せば、静かに読書に勤しんでいる半兵衛だとか、目を閉じて迷走さながらのポーズをしている元就だとかが目に入る。ちなみに小十郎は、自分の後ろに敷いてある布団の上で寝ていた……これはもう朝まで起きる事は無いだろう。やはりアニバサ弐の間、殆ど牢屋で過ごすと言うのはなかなか疲労がたまる苦行だったらしい。
 そして自分は、安全を保障された場所から月を見ながら携帯電話。
 ……平和である。
 そんな平和な場所から、政宗は危険真っただ中な慶次にこう言ってやるのだった。
「ま、死なないだろうから適当に頑張れ」
『無茶言わないで!?死ぬから普通に!』
「クマくらいならお前らならどうにかなるだろ。素手でも」
『忘れないで!今これ日輪学院設定だから!俺たち普通の高校生!武将じゃないよ!?』
「じゃあ死んでこい。骨は拾って……やっぱ面倒だから止めとこうか」
『酷いよ政宗!……っていうかリアルでこの山マズイんだってば!さっきオオカミ見えたもんオオカミ!』
「……は?そいつら日本じゃ絶滅してんじゃ」
『でも本当に居たんだよ!?』
「夢じゃねぇの?」
『夢じゃなくて!』
「……じゃ、幻覚だな」
 言いきって、政宗は通話終了ボタンに指をかけた。
「ま、死なない程度に頑張れよ」
『あ、政宗ちょっとま、』
「待たない」
 そう言い残して、ぶち、と、容赦なく、政宗はボタンを押した。



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