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んー……多分、現代、かなぁ。あまり設定せずに書いたものですから、多分現代かと。
ヴァリアーのボスと次席のお話です。
078:儚き過去
「そういやぁ、ボスさんは覚えてるか?」
「何をだ」
「いやよぉ、こんな日だったよなぁって」
「だから何がだ」
「懐かしいよなぁ……」
「……」
だから、何がだ。
勝手に一人だけ追憶モードに入っているヴァリアー次席に向けていた目を細め、机の引き出しの一つを音を立てずに開ける。そうして視界の隅の隅に見える黒い二丁の銃を意識の端にひっかけながら、いつもよりも低い声で最終勧告を告げる。
「……あと一秒やる。答えろ」
「は!?一秒って短すぎねぇ!?」
驚いた様子でこちらを振り向いた鮫に、向ける表情は笑み。
勿論、普通の笑みでは無い。獲物を前にした狩人の笑み、というやつである。
「……一秒経ったな」
「わーッ!?待て!?分かった教える!」
流石に危機の察知能力は高い様で、手が引き出しの中の得物に触れた瞬間に、そう叫びながら鮫は素早く自分と距離を取った。
しっかりとその辺りにあったソファーを盾に出来るように身構えながら、鮫は息を吐く。
「ったく……少しおちょくったらこれかよ……」
「死ぬか」
「断る!だからソレから手ぇ離せ!……………………………昔、」
盾にされている物体の背もたれから目元から上をのぞかせた状態で、鮫は言った。
「今日みてぇに無駄に晴れてて微妙に寒い日によぉ、こっそり普通の店とか市場とか行ったろ。それを思い出してた」
「……あぁ、途中で跳ね馬が乱入して来て偉い目にあったあれか」
その結果確か、何故か自分たちはケチャップまみれになったのだったか。……いや、しかし、本当に一体どうしてそんな事になったのだろう。当時も首を傾げたものだが、今考えてみても疑問しか浮かばない。
そんな風に思いながらちらりと次席を見ると、彼は立ち上がり、ぽかんと口を開けていた。自分がその事を覚えていたと言う事実に衝撃を受けたらしい。そう思ってザンザスは笑った……今回は狩人としてではなく、普通に、笑った。
「テメェごときが覚えてる事だ、俺が忘れるわけもねぇだろう」
後ろに下がった理由は、盾ゲットのためですよ。どれほど役に立つかはまぁ、さておいて。
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