式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
もうマイスターでも無く、CBです。ライルとアニューです。
08.泣きムシ
彼女は眠っている間に涙を流す。
怖い夢でも見ているのか、嫌な思い出でも見ているのか。
眠っている彼女が何を見ているのか、自分には分からない。朝起きて尋ねてみても、彼女はきょとんとした表情でこちらを見るばかり。悪夢であろうその夢を、彼女は夢の中に置き去りにして目覚めるのだ。
だから知らない。
彼女が何を見て泣いているのか。
あるいは。
彼女が何を見ずに泣いているのか。
自分は、一つも知らないのだ。
出来る事なら原因を知りたいと思うのに。知って、一緒にそれに向かっていこうと言ってあげたいと思うのに。知らないから何も言えない。気付いていないから泣いていたのだと、本当のことを言うのも憚られる。
そんな自分にできる事はただ一つ。何ら変わらない態度を取って、且つ、彼女を悲しませないように振舞い努力する事。
けれども、そうするたびに流される涙が増して行く様な、そんな気がした。
実際、そうだった。日に日に眠る彼女の流す涙は増えて行く。止まるのが遅くなる。拭ってやっても拭ってやっても、それは彼女の顔を濡らし続ける。
多分、優しくしているのが原因なのだろう。
しかし、だからといって優しくすることは止められない。何せ相手は彼女だ。自分が求め、自分を求めている相手だ。そんな相手を悲しませるようなまねはどうしても出来そうにはなかった。
ならば、別の方法で彼女の涙を止める事は出来ないだろうか。
今夜もきっと、眠る彼女の流す涙を眺めながら思い、考えるのだろう。
そんな方法が思いつかなくても。
ずっと、ずっと。
アニューにも無意識、というものはあったんだろうかと、ふっと思ったので。
いつか裏切り捨てていく貴方達へ、みたいな涙です。
PR
この記事にコメントする