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タイトルが「~門田の場合~」になってるけれど、本当はドタチン、って入れようかと考えてました。そっちの方が語呂が良さげだし。でも門田にしちゃいましたとさ。



「だから、うたやんは凄いんだって!イザイザと戦って良い勝負になってるくらい凄かったんだって!ね、ゆまっち!」
「そうっすよ!ていうか実際にそうだったんすよ!」
「信じられねぇな……その、うたやん?本名何だ?」
「歌子、って言ってたけど」
「そうか。…その歌子っていう子が強いにしたって、臨也のヤツに勝てるとは思えねぇよ」
「そりゃ、確かにイザイザは強いんだけどさー」
 少し不満げに、狩沢は唇を尖らせた。
「でも、本当にそうだったんだから仕方ないじゃん」
「そうなんすよねぇ……その上、お互いにいがみ合ってたみたいだったから、多分、互いに武器とか持ってたら血みどろで格好いい殺し合いになってたんじゃないすかね?」
 追従するかのように遊馬崎は力説する。
 そんな二人と共に歩く門田は、二人の様子を見てもまだ完全には信じられなかった。
 二人が嘘を言っているのではないというのは四六時中顔を合わせているのだ、分かる。けれど、臨也が高校生くらいの少女と戦って五分だったという事実を受け入れる事は、なかなかどうして難しい。
 静雄としょっちゅう殺し合いの喧嘩をしてなおも生き残っている彼。
 それがまさか十歳近く年下だろう相手と戦って互角だというのは……
「あ、うたやん見っけ」
「マジすか!?」
 唐突に上げられた喜色にまみれた二つの声に、門田は思考の海から引き戻された。
 そうして二人が見ている方へ視線を移して……硬直する。
 そこには確かに高校生くらいの少女がいた。
 付け加えて、傍に静雄と臨也がいた。
 ……留守番にとワゴンに残っている渡草が羨ましい。
 犬猿の仲二人が一緒にいる光景を見て、思ったのはただそれだけ。何せあの距離、そして臨也のあの楽しそうな表情だ。その内絶対に静雄がキレて自動販売機と道路標識とゴミ箱が宙を舞う事になる。
 今すぐ逃げようと決めかけた所で、ふと、おかしなことに気がつく。
「……何でまだ何も宙に浮いてねぇんだ?」
 あの距離で、あの笑顔で、あの存在だ。もう既に何かが投げられていてもおかしくない。普通に殴りかかっても蹴りつけても違和感などない。
 なのに全くその気配がないと言うのは一体……?
 状況が全然つかめない自分の隣で、狩沢が目を無駄に輝かせた。
「やっぱりぃ、昨日の夜のあれって逃避行だったって事?二人は実はらぶらぶって事!?だから喧嘩してないって事っ!?」
「だから狩沢さん、そーゆー事を言わないで欲しいっす!むしろ今はあの二人よりもペタンコ少女・歌子ちゃんの事を話げふっ!?」
 彼女を止めようとしたのか……判定は微妙なところではある。けれどもとりあえず止めようとはしたのだろうと判断すると、何か微妙に斜め四十度くらいの事を口走っていた遊馬崎の言葉が、途中で止まった。
 正確に言うと、止められた。
 先ほどからずっと話題に出ていた『歌子』という少女らしい人物によって。
 ……飛び蹴りで。
「誰がペタンコ少女なのかしら、ウォーカー」
 すた、と綺麗に地面に着地した少女は、ひたすらに冷たい目で遊馬崎を見下ろし……否、見下していた。
 唖然とその様を見ながらも、成程、強いと言うのは間違いないのだろうと理解する。飛び蹴りは見事にきまった様だし、着地も上手かった。ただ、これだけではまだ臨也と互角だと言う事まで納得する事は出来ないけれど。
「私はペタンコじゃないわ。単に胸が大きい人たちが無駄に周りにいるだけよ。私は並」
「そーかなー?うたやん、結構ツルペタだよ?」
「……死にたいの、絵理華?」
「まっさかぁ。でも本当の事だし」
「……」
「あ、落ち込んじゃった?ごめんね?」
「…良いもの……私別にこのままでも良いもの…」
 冷たい表情から一転、随分とどんよりした表情を浮かべる少女。
 それを見て、何とも言えない思いを抱く。強い、という印象に揺らぎはないが、やはり臨也と互角という言葉からは遠ざかる。見た目だけで全てを決めてはいけない事は分かっているが、彼女の事をほとんど知らない以上、見た目や様子で判断するしかないのは仕方がないと言えば、仕方がなかった。
 それにしても…どうしたものだろう。
 落ち込みに落ち込んでいる少女の姿眺めつつ、思う。まさかあのテンションにしたまま放り出すわけにもいかないし。
「さい……歌子!行くぞ!」
 そんな事を考えていると、離れた場所で立ち止まっていた静雄の声が聞こえてきた。
 彼の言葉がこちらに届いた後の変化は、劇的だった。
「絵理華、私は仕事の静雄と一緒に行きたいから、さよならだわ」
 少女は一気に立ち直り、そのままダッシュで静雄の方に行ってしまったのである。
 突然の変化に呆気にとられていると、狩沢が猫の様な笑みを浮かべた。
「ねぇ、うたやんたちの後、付けてみない?」







狩沢さんとゆまっちはある意味最強だと思うのですよ。
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