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先生シリーズまさかの第二弾。先生シリーズはボスと鮫の話になる予定なのですが……。
休みの日、というのは、例えば仕事が無い日の事を指す。
だから、出勤時間に合わせて起床する必要もないし、出たくなければ一歩も家の外に出て行く必要だって無い。髪をとかしたり、整えたりする必要だって多分、本人が感じなければ存在しないのだろう。
だが、それも度が過ぎると少々問題だ。
髪をとかせとは言わない。整えろとも言うまい。朝食を抜くくらいは大目に見てやってもいいし、用事が無いのだから外に出ろとも言わない。寝巻のまま一日を過ごしてくれたって、百億歩くらい譲れば構わないと言ってやろう。
けれども、しかし。
「今何時だと思ってんだぁ……」
大した理由も無いのに一日中ベッドの上というのは、流石に譲歩できそうになかった。
ちなみに現在の時刻は正午を少しばかり超えた頃合い。
……よくもまぁ、ここまで起こそうともせず耐えてきたものだ。
自分のことながら称賛を送り、考え込む。
これから、一体どうしようか。
普通なら起こす。が、相手はあの、幼稚園無いだろうと関係なく主に自分に向かって凶器になりそうなものを投げてくる、ボンゴレ幼稚園副園長だ。そんな彼を起こそうものなら間違いなく、物を投げられるとか、殴られるとか、蹴られるとか、撃たれるとか、そんなロクでもない目に遭う。
自分以外ならそこまで酷い事にはならないらしいと知ったのは、一体……何時だっただろう。それを知った時に感じたのが衝撃では無く、自分以外が滅多にはターゲットにされていない事に対する安堵だったのは、良く覚えているけれども。
あぁ、そういえばさらにその後、どこからともなく現れた彼にカッターナイフを投げつけられたんだったか。
あの時は本当に死ぬかと思った。
……。
…………まぁ。
虎穴に入るまでして欲しい虎児もいないわけだし。
「……寝かしとくか」
わざわざ自分から進んで痛い目を見ることもないだろうと、スクアーロはザンザスの寝室の扉を閉めた。もちろん、音が鳴らないように細心の注意を払って。
それからリビングの方に戻って、一人分しか用意していなかった昼食を食べる。彼が起きると言うなら、これを食べてもらっている間に自分の分を作ろうと思っていたのだが、やはり先に二人分を作っていなくて正解だった。
そんな風に思いながらも食事を終えて、使った食器は全部洗いへ持って行って。
洗うのは、夕食と一緒という事にしておいて。
……さて。
「早々にやること無くなったな……どうすんだこれから」
どうしようもない問題に直面して、流し台を前に、腕を組んで考え込む。
家にはあまり本と言う物を置いていないから、空き時間を延々と読書で埋めると言う事は出来ない。暇をつぶすには一番それが手っ取り早いのだろうが、けれども、この家には本と言う物自体があまり存在しないのである。あってもせいぜい、ザンザスが自分に投げつけるための弾丸の役割しか果たさない無駄に分厚い辞書とか、幼稚園での勤務に関係している本だとか、そんな程度。娯楽のための本は……悲しいかな、威力は低くても早く飛ぶ、優れた弾丸にされてしまうためあまり購入できないのだった。
ゲームはというと……あるけれども、あまり音を立てると寝ている彼が起きてくる可能性がある。そうなった場合、彼はまず間違いなく機嫌が悪くて、手にはもしかしたら例の辞書が二、三冊存在しているかもしれないのだ。ならば音を下げろと言われそうだが、何だかそれは嫌なのだ。折角のゲームなのだし、出来れば……というか、せめて、普通の音量でプレイしたい。
と、なれば。
室内で音を立てずに済み、寝ている彼を気にする必要もなく、自由にのんびりと出来る場所に行けばいいわけであり。
「外に行くかぁ……」
「却下だ」
「……おう」
呟きに返事が返ってくるとは思わなかったから少々驚いたが、衝撃を受ける程でもない。
何時の間にやら真後ろに立っていたザンザスの方を向いて、とりあえず朝の挨拶をすることにする。……今は昼だと言うツッコミが入りそうだがそこは無視。
「おそようさん」
「……フン。ちゃんとメシは用意してんだろうな」
「カップヌードルあるからそれ食っとけ」
「……死ぬか?」
「……仕方ねぇなぁ」
模造品ではない本物の銃を構える同居人に苦笑を浮かべ、ひらりと手を振る。
「外出は止めてやる。あと、メシも作るからリビングで待っとけ」
「五分以内だ。冷凍食品は認めねぇ」
「我儘なこったなぁ?」
どんな無茶だと苦笑しながら、素直にリビングへ戻るザンザスを見送って、スクアーロは冷蔵庫の中身を改めてチェックする事にした。
さて、この二人で突き通すことが、私はいったいいつまで出来るでしょうかね…。
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