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「スターゲイザー=星を見る人」だったはずだったと思うので、スターゲイザー略して星見。
というわけで、心霊対策室なお話です。
デスサイズに次いで、ノワールも喋り終えた。
さて、次はだれが喋るのだろう。何となくララァは最後に喋る気がするから、自分か、ゼータのどらかなのではないかろうか。
そんな風に思いながら視線をやると、もう一人の三番目の候補者は鞄からミカンを取り出していた。本が出ているわけではないから、話に飽きた……わけではないだろう。ということは、何となく食べたくなったのか、腹が空いたのか。動機はこの二つのどちらかである可能性が高い。そして時間帯的に、後者である可能性の方が高かった。
三時を示す壁時計に一瞬だけ視線をやってから、これは自分がやらないと仕方ないだろうとスターゲイザーは口を開いた。
「では、次は私が」
「ほう。何かあるのか?」
興味深げにノワールが尋ねてきたが、残念ながら、彼の興味を満足させる様な話を自分は持っていなかった。自分が知っている怪談の殆どは彼から教えてもらったもので、それを自分が話したところで彼が喜ぶとも思えない。
だからというわけではないが、そちら側の話は、始めからしない事にしていた。幸いにも、自分より先に喋った二人と同じ系統にくくられるであろう『怖い話』になら、心当たりがあったのである。
その時の戦慄を思い出しながら、語る。
「ある日、郵便ポストを確認した時の話なのですが……その中に、大量の紙が入っていたのです。何だろうと思って一枚を手に取り文面に目を走らせてみれば、知りもしない会社名に、覚えもない請求が記されていました。どうやら、架空請求というものだったようなのですが、本当に……あれを見た瞬間だけは、恐怖を覚えました」
「……仮に騙されたとしたら……総額はどのくらいだったんだ?」
と、ミカンを口に運ぶ手を止めて、ゼータが不思議そうにこちらを見た。
その視線を受け止めて、口元に手を当てながら考え込む。
「確か……五十万は……間違い無くあったかと思いますが」
「いや、七十はあっただろう」
ポストの中にあった紙の束を同じく見ていたノワールが、訂正を入れた。七十万。確かにそのくらいだったかもしれない。……そして忘れているかもしれないが、自分が一瞬でも架空請求を本物じゃないかと疑ったのは、彼が通販のページで色々なオカルトグッズを飼っているのを見たことがあったからなのだが。あの時の請求は、一万だったけれど。
抑えたと言っていたけれど、一万円でも結構な額だろうと思い返していると、あぁ、とゼータが手を打った。
「なら……うちよりは、被害が軽かったんだな。……うちは一千万円だった」
その言葉に唖然とすると、そんなこちらに構わず、彼は続けた。
「ところで……そろそろ、ボクも喋った方が良いのか?」
いや、架空請求って怖いんじゃないかなと思ったんですよ。
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