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こんなお題が相手なら、やるべきことは一つしかないでしょう。
というわけで、カタロン組のマリナ様とシーリンのお話です。
16.ニャー
「……猫?」
「えぇ、猫よ」
にゃあ。
と、その通りだと言わんばかりに。
レンズ越しに見える世界の中で、皇女の腕に抱かれた獣が鳴いた。
それを数秒間見つめてから、改めてマリナの方を向く。
「これは一体何なのかしら?貴方が連れてきていたの?」
「私じゃないわ。子供たちでもなくて……いえ、私の所にこの子を連れてきたのは確かに子供たちなのだけれど……この子、どこからか迷い込んできたみたいで」
「勝手に基地の中に迷い込んできたと?……まぁ、これだけ小さければ見張りも存在に気付けなかったかもしれないし、誰にも知られず入ることは可能かもしれないけれど」
果たして、そんな事があり得るのだろうか。
何せここは砂漠の真ん中……と言えば些か正しく無いかもしれないが、少なくとも真っ只中であることは間違ないだろう。そして砂漠と言えば、水も無く食料もない、そこに適応している生物以外は生きていくのが難しい場所でもある。
そんな所に猫、しかも子猫がいて、なおかつどこからともなく入りこんで来るなどと言う事があり得るのだろうか。普通に考えれば、無いと断言できる所だが。
しかし、現にその存在はここにいるわけであって。
……本当にどういう事なのだろう。
困惑に表情を歪め、腕を組んで子猫を見やる。
「……外に放り出して死なれるのも寝覚めが悪いけれど、だからといって猫なんて飼っている余裕、カタロンには無いわよ?どうするの?」
「出来れば飼い主を探してあげたいけれど……ここではそれも出来ないでしょうしね」
「当たり前でしょう」
「……今度、CBの人たちが来るのは何時かしら」
「………………マリナ、貴方まさか」
ぽつりと呟かれた言葉に、シーリンは頬を引きつらせた。
まさか。まさか、とは思うがいやしかし。だが、今の発言は今の会話の流れ上、それ以外の意味に捉えることなど出来もしないのも事実。
そんなこちらの思考を知りもしないで、マリナは言った。
「CBの人たちは世界のいろんなところに行くわけだから……この子を連れて行ってもらったとしたら、どこか良い所で下ろしてもらえたりしないかしら」
その表情は、晴れやかな笑みだった。
裏設定:その猫がそこにいる原因はCBさん。なんだよ、実は。
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