式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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お久しぶりです。式ワタリです。
今日は父の日ですねという事で、そんな感じの話をupしにまいりました。
三国伝で曹丕君メインというか、機駕というか。
「……本当に上手くいくのであろうな」
「大丈夫ですよー」
城内のとある廊下のとある岐路にて。
曹丕は、郭嘉と共に曲がり角の向こうの様子を窺っていた。
自分たちが見ているそこは、どうやら色々と使い勝手が良い通路らしく、時間帯によってはたくさんの人々が行きかうのだそうだ。しかし、今はそういう時間帯では無いようで、ぱっと見てもじっくりと見ても、目に映せる人影は一つだけである。
そして、その一人、というのが問題なのだ。
こそりと、隣人に再度問う。
「本当の本当に大丈夫なのだな?」
「本当の本当の本当の本当の本当に、十の十乗の本当を足し合わせても良いくらいに本当ですよ。問題ありませんってば」
「む……」
「というわけで、頑張って来てくださいね」
あっさりとした断言と共にひらりと手を振る天才軍師から視線を外し、改めて曲がり角の向こうの、件の人物に視線を向けた。
今から、自分は、紅蓮を纏うかの侠の所に行き、とある言葉を口にする。それによって、相手の表情がどう変わるかを、見る。
だが、果たして本当に上手くいくのだろうか。郭嘉は成功するだろうと太鼓判を押すが、自分にはどうしても想像できないのである。件の人物……つまり父が、自分の言葉によって表情を動かす姿というものが。
親子なのに、と思わないでもない。
しかし、滅多に顔を合わせることもないのだから、仕方がない、とも思う。
もしかしたら……だからこそ、なのかもしれない。今から行なおうとしている、こんな、意味のない事柄を実行しようとしているのは。
別に歩み寄ってやるつもりはないが。
それでも、少しくらい、見てみたかいのだろう。
「……よし」
ぐ、と握り拳を作って、曹丕は前を見た。
決めた。失敗しようとしまいと関係ない。とにかく……やろう。
そう心の中で呟きながら、一度深呼吸して、それから。
勢いよく、曲がり角から飛び出た。
そして最初に見たのは、少なからず驚いた様子の父の顔で。あぁ、父の表情を変えるのはもしかしたら案外簡単な事なのかもしれないと頭の片隅でひそりと思って。
大きくもなく小さくもない、父の所には確実に届く声で、叩きつけるように言った。
父上、俺は。
「あなたの事、嫌いじゃないです」
「お疲れさまでした、曹丕様。……顔赤いですけど大丈夫ですか?」
「……やかましい」
「でも、駄目じゃないですか。ちゃんと反応見てから撤退しないと。言って直ぐ踵、っていうのはどうかと思うんですよねぇ」
「……郭嘉」
「何ですか?」
「お前は、見たか?」
「……んー、どうでしたっけ。曖昧です」
「そうか……」
「……」
(本当は見たんですけど)
(ま、人に言われて知るより自分で見た方が良いんじゃないですかね?)
曹操様の表情を動かしてみようという作戦の元動いてる二名というか。郭嘉は作戦の手引とか下調べとか下準備とか色々やってたりすると言う裏話。
あと、やっぱり父親の事は好きでいてほしいと思う……これは願望ですが。でも、本編ではあんな感じだけども、少しくらい好きではあると思うんだ……。
それから、曹丕は嘘つけないと思う。そんな曹丕の、あの言葉は精一杯だったりとかね。尊敬とかをそのまま口にするにはまだまだ色んな壁がありそうな気もするので。
つまり、作戦に乗っかって曹操様にあの台詞を言いたがる曹丕(自覚してるかはさておき)、というのが書きたかったんだよ…………文中で、そういうのが匂わせれるようになりたいです。
そしてこれは、そんな感じのお話です。父の日、というものが三璃紗にあるか分かんなかったので、こんな感じになりました。
花も贈り物もないけど、これがあの息子の限界だと思うよ。
その通路を選んだ事に理由はない。
ただ何となく、通っただけなのだ。
だから、そんな通路で立ちつくしている曹操を見つけた時には驚いたし、故に、そんな彼に声をかけたのは至極当然のことだった。
「……曹操? こんな所でどうしたんだ?」
「……惇か」
そうして振り返った彼の表情に、思わず固まる。
「…………お前、その顔どうした?」
「……やっぱり妙な事になっているか」
「妙と言うか……見たままを言うが、」
「うむ」
「思いっきりふやけてるぞ」
曹丕の突然の登場に驚いて、言われた言葉に驚いて、しばらく止まって言われた事を咀嚼して、んで息子の性格とか色々照らし合わせて、色々分かって少し幸せっぽくなったりとか。っていう。
ただし表情はほとんど動かないので、惇兄とかくらいしか、何かがあったらしい事に気付けなかったりとか。
みんな仲良しって素晴らしいと思うんだ。
……というわけで、父の日です。
現実でも、何かしてあげれればいいんだけどなぁ……何出来るだろ。
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