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遠いあの日=過去のワンシーンみたいな。
そんな感じのイノベさん。



16:遠いあの日   (00:イノベ)
 
 
 
「ふと思ったんだけどさ」
 ぴこぴこと手の中の携帯ゲーム機を操作しながら、リジェネは小さく欠伸した。
「世界中の人間全部をゲーム中毒者にしちゃったらさ、案外簡単に紛争無くなりそうじゃない?」
「どういう事?」
 ネットワークに接続されている端末に向かったまま、キーボードから手を放さずに、ヒリングが言葉だけをリジェネへ向けた。
 そんなヒリングの様子を気にした風も無く、リジェネはゲーム機の画面に視線を注ぐ。
「いやさ、ゲーマーだけの世界にしたら、みんな、プレイヤーキャラのレベルアップとかに忙しくて戦争とかしてる場合じゃ無くなると思うんだよね。一分一秒でもゲームの方につぎ込まないと、あっという間に他の人と差が出来ちゃうし」
「あー、成程。そう言う事。だったら私もその世界は歓迎しちゃうわ。最近挑んで来る相手がねー、みんな弱くて弱くて弱くて仕方ないのよ。ギリギリの駆け引きが出来ないっていうか、燃えきれないっていうか?」
「あぁ、あるある。こっちはゲームを隅から隅まで極めつくしてるのに、相手は全然そんな事無くて、そのせいでアリを踏みつぶしてる子供の気分を嫌でも味わってしまうっていう、あれだよね?」
「そうなのよ。お陰で全力が出しきれなくて、腕がなまり気味だわ」
「じゃあ、今度、僕がお相手するね。そこいらのプレイヤーよりは強いつもりだよ」
「お願いしちゃっていいの? コテンパンに倒しちゃうけど」
「望むところだね。返り討ちにしてあげるよ」
 
 
「……で、あの二人は、いつまでゲームやってるつもりなんでしょうか」
 読んでいた本をぱたんと閉じて、リヴァイヴはぽつりと呟いた。
 特にやるべき事も無いし、特に害はなさそうだったから放っておいたのだけれども……気が付いたら、彼らがゲームを始めてから、既に二時間が経っている。
 いい加減止めるべきなのだろうが、自分が言ったところで止まる二人では無い。だから結局、彼らに対して自分が取れる態度というのは、今までと同じく『放置』だけである。ここにリボンズがいたら、また話は違っていたのだろうが。
 息を吐き、しかし、と口を開く。
「ゲームによる平和など……まさか、本気で言ってるわけじゃありませんよね……?」








ゲームによる平和計画は、冗談半分でわがまま半分、あとちょっぴりの本気で構成されています。
平和にはなりそうだけど、不健康そうだよね。
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