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どんどん足していきます。
~本誌より~
「ヴァーチェ、頬のコードがナポリタンだって言うの、本当?」
キュリオスのその発言を受けて、思わずヴァーチェは飲んでいた茶を吹きかけたが……意地とプライドにかけて、何とか堪えた。
……が、それでもむせてしまい、何度かゴホゴホと咳をして、それでようやく落ち着く。
それほど驚くことだったわけだ。
「だだだだだ大丈夫!?」
「そんなに慌てるくらいなら、始めから言うな……」
予想しなかった反応、だったのだろう。大げさなくらい慌てるキュリオスを見る。
にしても……まさか、彼からこんな言葉を聞くとは思わなかった。
「一体、どうしたんだ……」
というか、誰から聞いた。そんなことを考えつくようなキャラでは一応……ないはずだろうが。スイッチ的なものが入ったら別かも知れないが、少なくとも今はそんな状態ではないだろうに。
「えっと……ちょっと聞いたから」
「誰から」
「赤い人。ほら、シャアさんっていう」
人じゃなくてMSだろう、というお決まりのツッコミは、果たして入れるべきだろうか……いやいや、そんなことを考えている場合でもなくて。
キュリオスには気づかれないように、小さく嗤う。
そうか、ここに来て始めて会ったあのMSが犯人か。
「あれ……ヴァーチェ、どこか行くの?」
「あぁ。少し用事を思い出した」
急に立ち上がったことに疑問を覚えたらしい彼に、軽く返す。
あのデマ(頬袋からナポリタンのこと)は、キュリオスだけならともかくとして、エクシアとデュナメスには聞かれるわけにはいかない。聞かれてしまったら……被害者が増えるだけか。
さぁ……犯人を破砕しに行こう。
(2008/06/08)
~ハロ好き(?)たち~
「質問があります」
「ん?」
インフィニットそう、唐突に切り出されてデュナメスは首をかしげた。
何だろうか。自分と彼とはあまり接点もないし、だから話すようなことも少ないというか……だから、少し不思議だった。
けれども次の言葉でその疑問は氷解する。
「どうして、自分のハロは見分けが付くんですか?」
「あ……あぁ、そういうこと」
なるほどと思いながら、初対面の時のことを思い出す。
あの時、相棒のオレンジ色のハロと一緒にいたのだが、誤ってインフィニットと彼の友人が同色のハロを辺り一面にまき散らしてしまった時があった。
普通では見分けの付かない状態で、しかしデュナメスは相棒を簡単に発見したのだが。
つまり、その時のことがずっと疑問だったのだろう。
「別に、特別にどうこうってのは無いけど……」
「けど?」
「相棒だったから、だから直ぐに分かったんだと思う」
まぁ、この答えが一番妥当な線だろう。相棒のオレンジハロとは付き合いは長いし、いつも一緒にいるから。というか、これ以外に理由というものが見あたらないことも事実なので、自然とこれが答えになるというか。
「参考になったか分からないけど…どうだ?」
「いえ。そんなことはありません。それに目標ができましたので」
「目標?」
何だろうか、それは。
視線で問うと、インフィニットは口を開いた。
「貴方でも相棒と見分けが付かないようなオレンジ色のハロを作って見せます」
聞きながら、あぁ、そういえば彼は物作りを好むMSだったなと思い返す。これはちょっとした挑戦なのだろう。
だから、デュナメスは笑って言った。
「ま、頑張れよ」
多分、どんなものとでも相棒の見分けは付くけれど。
(2008/07/13)
~怠惰な昼下がり~
暑い日が続く、夏。
このコロニーで生活している各グループの例に漏れず、それすたる・びーいんぐ(略して『それ・びー』)の四人もクーラーの効く部屋でのんびりと、各々のやりたいことに没頭していた。武力介入の対象が全然無いという事が分かっているため、気持ちの方が大いに緩んだ結果だ。
エクシアはいかにしてガンダムを「ガンダムでないと認めさせるか」を考えていたし、ヴァーチェの方はシャアを破砕する方法を熟考していた。デュナメスは相棒を磨いてやったり。
それぞれ、やっていることには統一感の欠片もなかったが、そこに流れているノンビリとした雰囲気は同じ。全くもって平和そのものである。
「……やることがないって良いね」
ふいに、本を読んでいたキュリオスが呟いた。
「まぁ、ちょっと暇すぎて…やりたいことが尽きかけて、少し暇になりそうだけど……」
「あー、確かに……」
「そうか?オレは思考に決着が付かない」
「オレもだな」
賛同したのはデュナメスだけ。他の二人は首をかしげ気味、である。
キュリオスは思わず苦笑した。それは二人が考えていることがあまりに難しすぎるから、というだけのこと。なかなか無くならないからこう思えないのだ。何せ、二人が考えていることを要約してしまうと『完全犯罪』である。
本当に大丈夫だろうか……と一抹の不安を覚え、しかし慌てて首を振った。
まさか、二人だって本当に実行をしたりはしない……ハズだ。
「だが、暇になるのに『やることが無くて良い』というのは?」
「だってほら、ボクらの出番がないって事はつまり、争いがないって事だし」
これが、どれほど素晴らしいことか。
そう言うと、大きな賛同と、小さな賛同と、沈黙を伴う賛同が返ってきた。
キュリオスは微笑み、そして。
平和の象徴とも取れる、怠惰な時へと戻っていった。
(2008/08/03)
~エクシアのプラン・ヴァーチェのプラン~
「キュリオス、お前が必要だ」
「でもでもでもでもっ……そんなダメだよ!」
「大丈夫だ。俺がガンダムだ」
「それは理由になってないってば!」
「立派な理由だ」
「なってないよ!」
「……キュリオス」
「そっ……そんなに凄んだってダメなものはダメ!」
「…キュリオス」
「ダメだって……ダメ……うぅぅ…」
「キュリオス」
「ご……ごめんなさいーッ」
「逃げるな!」
「追いかけてこないでー!」
「……なぁ、アイツら何の話してんだ?予想は大体つくけど」
「エクシアが、ガンダムを駆逐する案を出した」
「やっぱりな……で、それにどうしてキュリオスが?」
「エクシアがガンダムを急襲、その後、飛行形態のキュリオスの上に乗って早急に去る」
「それがプランか。ま、頑張れば完全犯罪達成…ってダメだろ!オレら紛争駆逐する側!」
「だが……エクシアのプラン、なかなか良いな。キュリオスの機動力があれば…なるほど」
「え……ヴァーチェ、お前まさか…」
「いや?オレがキュリオスの上に乗る、というのは無理がある」
「だよな……」
「だからデュナメス、やるならば貴方の力を借りる」
「あー、オレの力をね……ってオレぇ!?」
「貴方の狙撃能力があれば、遠くからでも目標を破砕できる」
「それ、お前何もしないだろ!?全部オレ任せじゃねーか!」
「あぁ……言われてみればそうだな。頑張れ」
「頑張らねーよ!」
(2008/09/07)
~もしもキュリオスと裏キュリオスが分かれてたら~
V「困るな」
E「あぁ、困る」
K「え?何か困るの?」
V「呼び方だ。どう呼んだらいいかが分からん」
D「あー、まぁ、なぁ?」
V「パイロットのように裏と表とで名前が二つあれば良いんだがな」
E「無いからな……分かりづらい」
K「そっかぁ……あ、じゃあさ、作ったら?」
E「呼び名をか?」
V「……面倒だな…まぁいい、考えてやる」
D「結局引き受けてるところ、お前、結構暇してんだろ」
V「ヴァーチェ、目標を破砕す、」
D「分かった!悪い!オレの失言でしたッ!」
E「お前らは二人で漫才でもしていろ。……キュリオス、行くぞ」
K「え、けど二人が……」
E「正確には二機だが」
K「そーいうツッコミは禁止だよ、エクシア!」
D「てーか、お前……本当にオレらを置いてく気かよ」
E「邪魔だからな」
V「ほう……?」
K「ヴァッ…ヴァーチェ落ち着いて!」
D「エクシアも挑発とかするなよな!?」
E「アイツが勝手に乗ってきた」
V「成る程、貴様は痛い目を見なければ正確が直らないタチらしいな」
K「ほ…本当に仲良くしてよ……」
D「あれ?当初の議論のテーマって何だっけ?」
K「あ……何だろうね?」
(2008/10/05)
~『C』マニュアル~
「…『C』マニュアル?」
何だそれは、とエクシアは首を傾げた。そんなもの聞いたこともないし、見たこともないし、手に取ってみたこともない。
しかしそれは、今、明確な形を持って自分たちの前にあった。
「ほら、海に行ったろ」
そのマニュアルを捲りながら、デュナメスが口を開く。
「あの時の俺らの反応で色々考えることがあったんだろうな…クリスマスについての説明書を作ってくれたってワケだ」
「誰が、とは訊く必要もないか」
「ガンダム…だな」
「その通り」
彼ほどのお節介ならば、確かにそのくらいはする。
成る程と納得しているエクシアの目の前で、マニュアルがキュリオスの手に渡った。
「で…全員一度は見ろ、と?」
「ま、常識は身につけてても支障はないだろ?」
「むしろ、無ければ困るだろうが…」
「あ!このイベントいい!」
ヴァーチェの言葉を遮るように、キュリオスが唐突に声を上げた。
何だ?と見てみれば、彼はとあるページをこちらに見せた。
「これ、おもしろそうだよね!」
「…『プレゼント交換』?」
「うん!…あ」
と、ここで気弱そうな(というか、本当に気が弱いのだが)表情を浮かべ、怖ず怖ずと、彼はこちらを見た。
「……みんなは…嫌、かな……?」
「そんなことはない」
エクシアはそう、即答した。
実際に面白そうだと思ったし、仲間の一人がこれほどやりたがっているのだ。止めようという理由の方が見あたらない。
デュナメスとヴァーチェに目で問いかけてみると、二人ともこくりと頷いた。
こうやって、それ・びーのメンバーのクリスマス、その予定の一つが決定した。
〈ワタリの一言〉実際はクリスマスは知ってるようだけど…プレゼント交換はしたこと…あるの?
(2008/12/07)
↑ここまでは2009年春号までの。まだ改名はしてません。
↓ここから改名しております。
~もう一人のボク~
「キュリオス!だから、勝手に行動したらダメだってば!」
「良いじゃねぇかこのくらい。別に財布をぱくろうって話でもねぇし」
「でも、やっぱり勝手な行動はダメなの!」
「んなこと言われてもな、オレはオレのやりたいようにやるだけだぜ」
そう言ってアイスを食べるキュリオスに、アリオスは困ったような表情を浮かべ。
ダブルオーはその様子を煎餅をかじりながら見ていた。
アリオスがアリオスになってから「空き」になった体に入ったキュリオスと、アリオスのこういう言い合い?は既に日常茶飯事だ。基本的にキュリオスがアリオスの言うこと以外をきかないからこういう事になっている。
「…でもね、キュリオス」
「ん?」
「君の持ってる財布あるでしょう」
「それがどうかしたか?」
「それってボクのと兼用だって知ってるよね!?」
「細かいことは気にするなよ。ちゃんとお前のは残ってるしな」
「……本当?」
「多分」
「多分って何!?」
…これは絶対残っていないのだろう。何となく想像できる。
本当に変わらないことで、と思っていると、二人の言い合いを聞き、同じように煎餅をかじっていたセラヴィーがポツリと呟いた。
「何というか…あぁいうアリオスはいっそ新鮮だと思うんだが」
「というと?」
「気弱なアイツがあぁもハッキリと喋るのも何とも貴重だと思っただけだ」
「…言われてみれば」
確かにその通りだが、とりあえず『自分』だったキュリオスを相手にしているときくらい、こうもなるのだろう。
「そういえば、ケルディムはどこに行った?」
「アイツはデュナメスの所に行ったんじゃなかったか?」
「…いつ帰ってくる?」
「そこまでは知らないな」
(2009/07/10)
~嘘予告:ドラマっぽく~
突然告げられた衝撃の真実。
それは他人同士だと思っていたアリオスとキュリオスが兄弟……しかも双子であると言う事実だった。
気安い友達として接していた二人は新しい距離感をつかめず、悩み、相手にどう接して良い物か理解できず、次第に離れていくようになる。
互いに別々に下校するのが当たり前になって数週間が経ち、その頃から、嫌な噂が学校や町の中を駆け巡るようになった。
その噂を肯定するかのように続々と消える町の人間たち。
そしてその中にアリオスの存在が加えられた時、キュリオスは夕焼けに染まる待ちの中を駆けだしていた……!
果たしてアリオスはどこへ消えたのか?キュリオスは双子の半身に再開する事が出来るのか?
二人の関係の行方は……?
『隣のアイツ』、十三月一日に全国ロードショ、」
「キュリオス何やってるの!?」
「……っち、良い所で」
「良い所でじゃないよ……本当に何やってるの……」
「いや、カメラが回ってたから何かしねぇとって思って」
「もっと別の事やって!」
「良いだろ別によ。ダブルオーの奴にカメラの前で演説されるよりはマシだろーが」
「それは比べるべき対象じゃないんだよ……!」
「あー煩ぇ……ならアリオス、お前が何かやってみろよ。カメラはまだ回ってんぜ」
「え?あ!てっ……停止ボタンどこ!?」
「おーっと、させるかよ!」
「キュッ……キュリオス離して!お願いだから!良く見たらレンズこっち向いてるから!」
「今気付いたのかよ。おせーな」
「うぅ……」
「まぁ、しばらくカメラが止まりそうもねーし、止まるまでお前も映っとけ」
「そんなぁ……」
(2010/08/09)