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 遠ざかる二つの背中を眺めながら、ちょっとばかりため息。
 最後の笑いには触れないことにしよう。一応。そこからツッコミを入れていったら、きりがなくなる気がする。いつものこと、ということで。というか、対象はハレルヤだけだろうから自分が気にする必要はない。

 それはともかく……どうやらソーマは、タイミングを駆使する高い技能を持っているらしい。あの時の睨みはなかなかのものだ。キチンと謀って行動を起こしている。
 将来、よい策士になれそうだ。

 ……と、それも置いておいて。
 問題は隣でふるふると震えている、今にも叫び出しそうな彼の方だろう。
 そんな様子を見て、本当に叫ばれても迷惑だと思ったティエリアは、早急に先手を打つことにした。
 つまり、後ろ頭を思い切り叩いた。
 スパァン、という良い音が響く。

「ってぇ!?……眼鏡、テメェッ!俺は何もしてねぇだろうが!?」
「何かを叫ばれそうな気がしたからな。先手を打った」
「そんな理屈が通るかっ!」
「この屋敷では俺がルールだ」

 言い捨てて、クルリと踵を返した。
 向かうのは地下。あの鏡がある場所。

「ん?ヴェーダの所にでも行くのかよ?」
「あぁ。裂け目を通っている間に、彼から新しい情報を得た」

 彼が言うには、都からの『狩人』たちはもう、歩いて一日程度の場所にまで来ているという。どうやら何らかの『異端』を捕らえ、その力を利用しているようなのだが……さすがに、そこまでは分からないそうだ。これらの情報は、全て気配から読み取った者だそうだから、限界もあるのだろう。

「あ、その使われてた『異端』が今、屋敷にいんだけど」
「……は?」

 それを伝えると、ハレルヤがあっさりと、実に重大な事実を口にした。
 どういうことだこれは。自分がここを離れている間に、どうしてそんなに状況が動いているのだろうか。
 気を取り直して、訊くべき事は訊いておく。

「彼らからの情報は?」
「都の奴等の中に、金雇いの傭兵がいるんだそうだ。で、ソイツら『異端』を捕まえてたのは傭兵どもだっつー話。人質取られてしょうがなく力を貸してたそうだぜ」

 なるほど…どうりで進行のスピードが速いわけだ。ヴェーダは三日の距離といったが、それはあくまで歩いて。それ以外は対象外。
 これで疑問は一つ減ったが、代わりにもう一つの疑問が。

「だが……よくもまぁ、あの気位の高い『狩人』どもが傭兵と組んだな…」
「都の奴ら、無駄にプライド高いからな……お偉い貴族さんが、自分の金で雇ったか?」
「有り得るな。都には『異端』というだけで彼らを嫌うバカどもが多い」

 そういう場合、その貴族とやらは大群の中にいる可能性が高い。なんせ『異端』を狩りに行くのだ。どうして近くで見ようと思わないだろう?そんな、彼らにとって、とても楽しいパーティに出席しないだなんて。
 本当に、吐き気のする話だ。

 思いながら、ティエリアは歩き出した。
 ハレルヤが、どこか別の方向へ行こうとしているのは放っておく。自分は、決して彼の保護者ではないから、いちいち行動を知る必要もない。

 

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