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「……えっと…何がどうなって…るの?」
「俺に訊くなよな……」

 急に開いた裂け目に入っていた刹那、ロックオン、ハレルヤ、ネーナがいなくなり、ポツンと取り残されたソーマ、フェルト、ミハエルの三人は、これからどうするべきかと頭を悩ませていた。

 追い掛けるにしても、どこに行ったかが分かっていない。その上、ソーマは今、どうしてだか力が使えないのだ。とても遠い場所へと行かれてしまったら、手の施し用はどこにも無い。

「とりあえず、ティエリアの屋敷へ戻りましょう。それが一番だと思います」
「何でだ?このまま探しに出ればいいんじゃね?」

 まさか『あの屋敷の地下にはヴェーダという鏡があって、何でも知りたいことを教えてくれるんです』と、懇切丁寧に話すわけにもいかず、ソーマは口ごもった。どうやって言うべきだろうか。

 不思議そうなミハエルと、まだ状況に追いつけずに呆然としているフェルトを見て、ため息が吐きたくなった。まさか、知らない人を誤魔化すというのが、こんなにも大変な物だったとは。演技が上手な人が、とても羨ましい。

 少し考えて、結局、さしあたりのない嘘……というか、これも目的だという物を口にすることにした。本当の目的ではないが、やっておいたほうが良いのは事実だろうし。

「一応、貴方たちの保護者はティエリアです、ミハエル・トリニティ。ですから、事は伝えておくべきでしょう」
「あぁ……そっか…この人、まだティエリアの家に泊まってたね…」

 まぁ、実際は意味のない行動だとは思うが。何せ、あちらにはヴェーダがあるのだから。とっくの昔にアレを使って、状況把握は済んでいるに違いない。彼は何か妙なことがあるとすぐに感づくから、すでに状況を疑問に思って調べ済みだろう。
 それでもするべきなのは、まぁ、誠意ということで。

「んで?今すぐ行くのか?」
「そのほうが良……ん?」

 答えながら、ふと感じた違和感に眉をひそめる。
 何だろうか……この開放感のような物は……。
 まさか、と思い、ソーマは実際に試すことにした。
 すると。

「やはり、ですか……」
「あれ?お前さ、力が使えなかったはずじゃなかったっけ?」

 案の定、目の前に裂け目が出来た。先ほど行ったときには出来なかったというのに。
 これが指すのは即ち、力の発動を妨害していた何かが取り除かれたということであり、またはその力を発動していた誰か負傷して解除したということである。

 おそらく前者だろうと、何となく思いながら、では一体どうして、と考える。あまりに唐突すぎて、どういうことかが分からなかった。
 あるいは、物事が起こっている場所へ行けば分かるのかも知れない。

 だが今、残念なことにソーマは、その場所にはいないのだ。
 

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