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何事にも終わりはあるもの。
夢とて変わりはないのです。



19.テイクアウト



 ざざぁん…と、波が崖にぶつかる音がする。

 ここは果て。夢の際。

 ここから先には何もない。

 これから先は、これから作りだす場。

 海から新しい大地が現れて、この大地の続きを作る。

 そんな場所に、アレルヤは座っていた。

 ここから眺める海と空は好きだ。

 何色ともつかない、あるいは何色でもないその風景は。

 とても、気に入っている。

 ふと、世界の終焉を思い描いてみる。

 こんな……何色でもあり、何色でもない風景が現れるのだろうか?

 だとしたら、そんな未来はごめんだ。

 この風景が美しいと思うのは、あくまで夢の中だからこそ。

 現実で起こってしまっては、その風景を見る余裕はない。

 残るのはきっともの悲しさ、それだけだ。

 だから、ここに来たらこの風景を眺める。

 現実では有り得ない美しさを焼き付けようと。

「お前も好きだな…この景色」

 ふいに聞き慣れた声を聞き、思わず微笑みを浮かべる。

 振り返る必要はなかった。誰なのか、確信があった。

 君もこっちに来たの?ぐっすりと眠っていたのに。

 そう言えば、ハッと笑う声。

「お前がいねぇのに、気楽に眠ってられるとでも思ってんのか?」

 分かってんだろ?という響きを持つその言葉に、苦笑した。

 そうだね、確かにそうだ。君はとても心配性だから。

「お前限定でだけどな…お前の間抜けっぷりには、本当に目を見張る物があるんだぜ?」

 ……あまり嬉しくないお墨付きだった。

 ふて腐れると、気配で感じたらしい。彼はクツクツと笑う。

「機嫌悪くすんなって。事実だろ?」

 ……余計、悪い。

 ここでようやくアレルヤは振り返り、背後に立っていた片割れを睨みつけた。

 案の定、彼は面白そうに笑っている。

「言われんのが嫌なら直してみろよ。出来ねぇだろーけど、な」

 僕にだって、やろうと思えば。

「出来るってか?有り得ねぇよ」

 断定されてしまった。

 もう少しばかり機嫌が斜めに曲がり、彼から視線を外して水平線を見る。

 相変わらず、変わらない、変わっていく色。

 それを堪能していた、その時。

 突然の浮遊感が襲ってきた。

 え?と混乱する頭で状況を把握し、半眼になって彼を見る。

 今の自分は小さい。確かに小さい。何せ、子供の姿なのだから。

 だからといって……

「ん?不満か?」

 不満に決まっていた。

 誰が満足に思うだろう?

 子猫みたいに襟首を捕まれて、持ち上げられているという状態を。

 ムスッとした表情を浮かべて反抗の意を示すが、彼に堪えた気配はない。

「そろそろ『帰る』ぞ。夢の外じゃ、もう朝だ」

 そう言う彼を見て、小さく溜息。

 何を言っても無駄らしい。

 このままお持ち帰りみたいに運ばれて、きっと夢から覚めるのだろう。




今回はハレルヤ。割と分かり易かったかと思います。
絶対に過保護じゃないと困るよね…ほら、アレルヤはオレオレ詐欺に引っかかりそうなほどの間抜けだと言っていたのは彼ですから、そこのところのサポートはしないとね。
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