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朝から色々と衝撃的な展開だった今日、なのだが……どうやらこれから、かなりの威力の爆弾が投下されるらしい。自分たち三人(アレルヤは元に戻っている)が食堂に戻ってきて早々、始めにカタギリが断っていた。あのグラハムも頷いていることから、それは正しいのだと推測される。ちなみにフェルトは帰って行った。用事は済んだから、だそうだ。
まだ何かあるのか……と溜息混じりに思いながら、ハレルヤは頬杖をついた。昨日……いや、一昨日からというもの、何だか休む間もなく事態が展開しているような気がするのだが、これは誰かのイヤガラセなのだろうか。本当に困る。特に今日はまだ眠い上に、後からグラハムとの再戦の約束があるのだから。
「ティエリア、君に酷く残念であろう知らせがある」
「……何ですか?出来れば単刀直入にお願いします。俺はこの本を読みたいので」
「カタギリからの土産品だな?しばし待て。直ぐに終わる」
「実はねぇ、こんな物をもらってきたんだよ」
そう言ってカタギリが懐から取り出したのは、一通の便せんだった。
見たところ、上等そうな封筒に入っている。ということは……パーティか何かの招待状だろうか。残念という以上、断ることは出来ない代物である可能性は高い。
「単なるパーティですか?ならば、欠席不可だとしてもそれほど…」
「このパーティはね、何人でもお供を連れて行くことが出来るんだ」
ティエリアの言葉を遮って、カタギリが笑う…といっても苦笑だが。
少しばかり、嫌な予感を覚える。こういう展開で、楽しい事態になったことはない。
「けど特徴はソコでなくて、これって『お見合い』の場を兼ねてるんだよ」
「………………つまり?」
「恋人か誰かを連れて行かないと、無理矢理でも婚約者が出来るというわけさ」
「………………………なるほど」
そうか、と呟いて後、ギギギという音を立てながらティエリアが顔を動かした。
視線が向かった先は、こっそりと(いつの間にか)逃げようとしていた片割れの方。
「アレルヤ・ハプティズム」
「っ……ぼ……僕は嫌だからね!?」
「……花壇の花、全て燃やしても構わないんだが」
「…っ!?」
衝撃のあまりだろう、固まったアレルヤを見てフフンと笑う屋敷の主に若干の殺意を覚えながら、ハレルヤは小さく裂け目を作り出して紙とペンを取り出した。
それから紙に、すらすらとペンを走らせる。
何を?と紙を覗き込むソーマを無視して書き上げ、ひらりとティエリアの方へ空気中を漂わせる。難しい技かもしれないが、既に慣れてしまっているハレルヤにとっては、それほどとは思えなかった。
それはともかく。
「……これは」
「前回より二年経ってるしな。前回のが二歳年取ったらそんな感じだろ」
「ちょっとハレルヤ!?どうしてそっち側についてるのさ!?」
「いや、眼鏡は苛つくんだけどな?」
「…だけど?」
「こういうパーティーするのって、金持ちのあの女だろ?あそこの料理は美味いからな」
「うっ…裏切り者ッ!」
「なんとでもどーぞ」
確かにアレルヤは大切だが命が云々でもあるまいし、今回は別に味方でなくても良いだろう。料理が美味しいのは事実だし、からかうためのネタが出来るのなら、こういう目にあってもらうのもまた良い。本人からしたら嫌な意見ではあるだろうが、生憎、自分は当人ではないので問題はないので。
さて、今回はどんな料理が出るだろうか。場合によってはレシピを教えてもらうとか、あるいは自分で勝手に盗んでみるとか、そういうのも良い……というか、目的はほとんど後者なのだけど。古くからの資産家であるこの家を乗っ取った時から、食材の値段に関しては気にしなくて良いので気が楽だ。何でも作れる。
状況が完全に分かっていない様子の狩人や魔族少女、逃亡者二人、それから悪魔の三兄弟を眺めながら思う。あの紙に描いてある絵……だいたい十七歳くらいの少女の絵を見た時、彼らはどんな推測をするのだろうか、と。