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拍手再録。
こういう朝も多分、ある。
10.目覚し時計
「……」
ソーマは困っていた。非常に困っていた。
理由は今、手の中にあるモノ……つまり、時計のせいなのだが。
時計が指している時刻を見て、はぁ、と溜息を吐く。
「……起床予定時刻よりも五分早い…」
ちなみに予定時刻は六時である。
つまりは五時五十五分に起きているわけだが、それが何の問題があるだろうと人は言うのだろう、が。
これが毎日毎朝ずっと一ヶ月間続いているとなるとどうだろうか?
……これでも、頑張っているのだ。初日などは今まで通りの四時起床。ついでに言うと、眠るのはだいたいが日付が変わる頃……つまり十二時頃。
ただ、どうやら睡眠時間が四時間だけというのは問題があったらしく、頭を抑えていた上司がソーマに買い与えたのがこの、目覚まし時計である。
せめて六時間の睡眠は取ってくれということで、確かに必要なときに体力が完全に戻っていなかったら何のための自分の存在だろうと思い、快く了承したのだが。
どうしても、六時に起きることが出来ない。
いつも、六時以前に起きてしまう。
こればかりは機関に居たときからの習慣であり、そうそう直すことも出来ないのだが……わざわざ、このようなものまで買い与えてもらったのだし、折角だから何とかしようと努力しているのだった。
結果、何とか五時五十五分まで起床時間を延ばすことが出来た。
だが……それ以降がどうしても。
寝る時間を遅めて見ようかとも考えてみたのだが、それでは本末転倒だと思い直した。目的はあくまで、睡眠時間を延ばすことだ。
何時になったら目覚まし時計の世話になるのだろうと思いながら、再びベッドの中に倒れ、瞳を閉じる。
「睡眠なんて、私にはそれほど必要でもないのに…」
呟きながらいくら待ってみても、睡魔は襲ってこない。
そのうち目覚まし時計が鳴り出し、それを止めてからソーマは朝の支度に取りかかった。
(2008/10/05)