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第五話も、残るところあと一編。
明日にそれをアップして、その次の日に二万打お礼をアップしたいとか思ってます。
チビスターズ第五話 ⑩
そして、事は夜に起こった。
小さくなった二人が一緒になって風呂に入っている最中、ロックオンはフェルトに手伝って貰いながら監視を行っていた。
何の監視かというと、それは当然ティエリアとハレルヤの監視である。
二人とも、刹那とアレルヤが一緒に風呂というのが気に入らないらしい。だからか妨害作戦を二人で一緒に考えて実行しようとしていた。すんでの所で止めたから良いものの……実行されていたら刹那の身が危なかったかも知れない。
何となくその気持ちは理解できるものの、しかし今の彼らは本当に小さな子供状態である。そういう態度は大人げない気がしなくもない。
…と言うと、はぁ、とティエリアに溜息を吐かれた。
「いいですか!?刹那・F・セイエイは確かに今は子供の姿をしている。だが中身は全くこれっぽちも1ミリ一寸も変わっていない!これの意味が分からない貴方ではないでしょう!?」
「あー、そりゃまぁ分かるが……」
つまり考え方も対象に対する感情も変わっていないと言いたいのだろう。
分かる。それは分かる。が……頬を掻きながら、ロックオンはポツリと呟いた。
「なんてーか……そういう気持ちより微笑ましさが先に来るんだけど」
「ハッ」
「フッ」
……鼻で笑われてしまった。
少ししょんぼりして床に手を突いて泣きかけていると、ポンと肩を叩かれて顔を上げた。
ぐっと右親指を立てたフェルトがいた。
「……大丈夫」
「そっか…フェルト、俺の味方はここではお前だけなんだな…」
アレルヤが戻ったら彼もこちらに来てくれるだろうが、変わりに刹那が向こうに付くだろうから何とも言えない。数の上では同等だが……あの三人が組んだら誰も勝てないような気がする。冗談抜きで。
なでなでと頭を撫でてもらっていると、ティエリアが口を開いた。
「ロリコンが」
氷点下の声音。
少々凍り付いていると、風呂場から物凄い音が聞こえてきた。ドガッ、ともバシャンとも言い難い……そんな音が。
慌てて立ち直り、ロックオンは先に走り出していた二人の後を追いかけた。
「アレルヤどうした!」
「ちょっとハレルヤ今入ってこないでっ!」
風呂場にたどり着いてハレルヤがドアを開いた瞬間、彼の額に洗面器がクリーンヒットした。どうやらまともにくらったようで……遠目から見ても当たった部分が赤い。後で冷えピタでも何でも良いから貼った方が良いだろう。
ハレルヤへの仕打ちを見て学習したのだろう、ティエリアはドアから少し離れた場所で止まっていた。
「アレルヤ・ハプティズム、どうにかしたのか」
「ティ……ティエリア…あのね…」
ヒョコリとドアから出されたアレルヤの頭の位置が高い。
…ということは。
「お前、元に戻ったのか!」
「みたいなんですけど分裂はそのままですね…じゃなくて……その…」
「何か言いにくいことでもあるのか?」
下を向いて口ごもっている彼に、優しく問いかける。
躊躇うというか口に出すのが恐ろしいという顔をしていた彼だったが、決めたらしい。その……と口を開いた。
そこで気づく。アレルヤの右手はドアの縁を掴んでいるので見えるが、左手は見えないこと、それに彼の顔が若干赤いこと、そして……刹那が出てこないこと。
「刹那が……女の子になっちゃいました……」
一瞬の間。
その言葉を誰よりも速く消化したロックオンは、慌てて風呂場の中を覗き込める場所へと向かった。
そこには。
「……本当にだな」
「でしょう?……だから刹那、いい加減左手を放してくれるかな…」
「断る。そうするとお前は逃げるだろう」
彼の言うとおりの刹那がいた。
彼(と言っていいのか…?)に左手を掴まれたままの彼は動けない状態らしく、ちょっとばかし不憫だ。
多分、ハレルヤはいきなりすぎたからあんな目にあったんんだろうなぁと思いながら、これからどうすんだよ……とロックオンは溜息を吐いた。
「とにかく服着たいから刹那、手を放して…っ?」
「……まぁ良いだろう。ところでティエリア・アーデ、手にしているその端末は何だ」
「今の君を写真に撮って、強請のネタにしようかと思っているだけだ」
「ティエリア、それ犯罪……」
「あーもう!とにかくお前ら服着ろ!そのままじゃ風邪引くからなッ!」
ちなみに翌日。
起きたら刹那は元通りの体に、アレルヤとハレルヤも分裂が解消していた。
最後の最後に一騒動…。
次で第五話は終了。