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青のお題が刹那アレルヤでよかったとおもいました。
だって新入生なんて、完全に刹那のこと。マイスターの中で一番最後に合流した人ですから。
09.新入生
※黒のお題:09,青いスケッチブック の後日談。先にそっちを読んだ方が分かり易いかも。
マイスターが全員顔を合わせて数日経ち、最初はあまり興味を抱いていなかった仲間たちについて、とある出来事を経て少しだろうと興味を持ちだしてさらに数日後。つまりは、刹那がこの場所に来てまだ間もないこの状態で。
刹那は、アレルヤの部屋を訪れていた。
「コーヒーしかないけど……あ、そういえばハレルヤが買ってたソーダが……ダメ?……別に良いじゃないか、少しくらい。ちゃんとコップ出すから。え?……ハレルヤ、それは我が侭という物だよ?」
「…何を話している?」
彼の個室の中でベッドに腰掛け、刹那はガタガタと家捜し(にしか見えない)を行っているアレルヤに問いかければ、苦笑を浮かべながら彼は答えた。
「ハレルヤがね、君にあげる物はないって言って。少しくらい良いと思わない?」
「そうか……で、ハレルヤというのは?」
一番訊きたかったことを訊くと、不思議そうな顔をされた。
「ハレルヤはハレルヤだよ」
「誰だ?」
「えっとね……ちょっと不良みたいで、やることが割と過激で……だけど本当は優しくて、とっても照れ屋な人だよ。素直じゃないんだ……何?後半が余計で違う?……合ってるよこれで…って痛ッ!?……分かった!分かったから頭痛いの止めて!」
また始まった独り言……しかも最中に頭痛が起きたらしい……が途切れたのを見計らって、刹那はもう一度問いを繰り返す。
「ハレルヤとは、誰だ?」
「……?さっき言ったけど…」
「それは『どんな対象か』だ」
刹那が訊きたいのは、ソレが一体『何なのか』である。
個性ではない。性格ではない。特性ではない。
哺乳類と鳥類と爬虫類だとか。
男と女だとか、子供と大人と老人だとか。
人種や年齢だとか。
そういった、ソレが何なのかをハッキリと示す何様かかの事象だ。
しかし、それが分からないらしく、アレルヤはキョトンとしたまま口を開いた。
「ハレルヤはハレルヤだよ?」
「だから、ハレルヤとは誰だ」
「だからハレルヤだってば」
このままでは話が平行線で終わると悟った刹那は、分かったと言って会話を断ち切った。
代わりに一言。
「ソーダはいらないが……カフェオレくらいなら…」
「そう?なら万事解決だね……折れてくれてありがと、刹那」
彼の微笑みを見ていると照れくさくなって、刹那はふいと明後日の方向を見た。
それでもやっぱり見ていたくて、ちらりと視線をやる。
アレルヤは相変わらず微笑んで居るままだったが、前髪に隠れた右目から不穏なな気配が流れ出ているように、何となく思った。
「ロックオン」
「ん?お前さんから話しかけるなんて珍しいな……で、何だ?」
食堂で発見することが出来た最年長マイスターの、机を挟んで目の前に座った刹那はまっすぐ彼の目を見た。
「……ハレルヤとは、誰だ」
「…そうか、刹那も訊いたんだな」
頬杖をついて、ロックオンはどこか寂しげに笑った。
「俺にも詳しいことは分からんが……ソイツと言うべきかソレと言うべきかも分からないソイツは、アレルヤにとっては間違いのない絶対の物らしい。そこにあるのが当然っていう勢いで、な」
「そうなのか……」
正体の良く分からない誰か。
いつか……会うこともあるのだろうか。
少し物思いに耽っていると、ポンと頭に微かな重み。
顔を上げてみると、自分の頭に手を乗せているロックオンが、優しげな笑みを浮かべているのが瞳に映った。
「ま、入って間もないしな。これからも色々と新しい発見があるだろうよ」
「……そうだな」
頷きながら、思う。
果たして、その発見は自分に何をもたらすのだろうか。
アレルヤにとってハレルヤは『ハレルヤ』だと思ったりしました。
片割れだとか色々とあるけど、やっぱり『ハレルヤ』かなとか。
…曖昧ですみません。